〜うたかたのテン使たち〜
気惠編+α

真夏の牛蒡星

−一子−

番外編

 おれは宙に浮かんでいた。

 ジャングル風呂の洗い場に横たわっているおれ自身の肉体を見下ろしている。自分の身体を――しかも素っ裸だ――見るってのも変な気分だ。

「遊一さん、遊一さん」

 一子ちゃんがおれをゆさぶっている。取り乱しているのがわかる。

「ごめんなさい、遊一さん! 目をさましてください!」

 おいおい、これって、もしや、死んじまったってんじゃないだろーな? 魂が身体を抜けだしてしまったとか……

 一子ちゃんの声を聞きつけてか――ちゅーか、おれと一子ちゃんがしていたことを繁みの間から覗いていたギャラリーの一人だろうが――中年のおっさんが近づいてきた。

 宙に浮かんでいるおれには気づかないようで、おれの身体の脈を取り、なにごとかを調べてから、一子ちゃんに向き直る。

「だいじょうぶ、ちょっと気を失っているだけだよ。すぐに目をさますよ」

 ほんとか? おれは浮遊しつつ、自分の身体に近づいてみる。たしかに胸が上下していて、顔色も悪くない。意識が外に抜けだしていることを除けば、ただ眠っているようにしか見えない。

 だが、自分の身体に帰ろうとしても、見えない壁に阻まれているようで、中に入ることができない。なんてこった。このままだと浮遊霊じゃねーか。

 それでも、おれの肉体が生きていることを知って、一子ちゃんは安心したらしい。

「よかった……ちょっと眠っているだけなんですね。そういえば遊一さんはお寝坊さんですから」

 その安心の仕方はどうかと思うが……

 おれの脈を調べたおっさんは、一子ちゃんの裸の胸のあたりをねぶるように見ている。ごっくん、唾をのみこむのがわかる。

「ところで、実はおじさんも ココに膿が溜まっているんだ。もしもよかったら、さっき彼にしていたように、吸い出してくれないかい?」

 毛むくじゃらの股間を指差しながら、猫なで声で言う。

 ずるいぞ、抜け駆けするな、との声がギャラリーたちからあがった。

「おれも膿がたまって死にそうだ」「ぼくも!」「わたしも!」「オラも!」「ワシもじゃ……」「ミー、トゥー!」

 およそ十人はいようかという男たちがおのおの股間を大きくして、一子ちゃんにむらがってくる。おいおい、そんなにギャラリーがいたのかよ? なんか外人もいるし。

「あ、あの……みなさん、ほんとうに膿が溜まる病気なのですか?」

 さすがの一子ちゃんも大勢の男たちを扱いかねているようだ。だが、男たちは一斉に股間を誇示した。サイズも色も形もさまざまに、勃起した十本のペニスが一子ちゃんを取り囲む。

「ほんとうですとも」と、ハモって言う。

「まあ……」

 一子ちゃんは、勃起した男根=腫れてて可哀想、という思考回路を持っているので、たちまち同情したようだ。

「わかりました。わたしにできることでしたら、治療のお手伝いをします」

 男たちの顔が輝いた。

 最初に声をかけたおっさんが一番乗り、とばかり、肉棒を一子ちゃんの目の前に突き出した。

 おれの若々しいペニスしか知らない一子ちゃんは、おっさんの黒ずんだ亀頭にびっくりしたようだが、それでも人助けのためだとばかりに、唇を開いた。おいおいっ! ほんとにおっさんのチンポをしゃぶってやる気かよ?

「んむ……ん……」

 おっさんの黒い肉棒を花びらのような唇で包みこむ一子ちゃん。

 なんてこった。こんなことになるなら、ちゃんとした性教育を施しておくんだった。しかし、もうあとの祭だ。

「おうっ……いいよ……最高だ」

 おっさんは喜悦の声をあげる。一子ちゃんは、おっさんの茎を甘噛みしながら、先端に向けて舐めあげる。それ、おれが教えたんだよな……

 亀頭に舌をからめたり、裏筋を舐めたり、手でしごいたり――

「ああ、こんな若くて可愛い子に、口でしてもらえるなんて……っ!」

 おっさんが叫ぶ。そりゃあそうだろう。まさか区民プールに併設された大浴場で、フェラチオサービスが受けられるとは予想できまい。

「あっ、いくっ!」

 おっさんはあっさりと陥落した。一子ちゃんの口のなかにいきなり漏出させたようだ。一子ちゃんは口から吐き出した白い粘液を掌に受けとめた。

「よかったですね……膿が出ましたよ」

 白衣を着せたらきっとナース・エンジェルになれるだろう。それくらい無垢な笑顔だ。

「つ、次はおれ、お願いします」

 でぶでぶに肥った中年男が一子ちゃんに迫る。

「おっぱいではさんでください」

「はあ……」

 一子ちゃんは不思議そうに男を見あげて、うなずいた。

 いいなあ、ちくしょう。おれだってまだパイズリはやってもらったことないのに。

 男は、一子ちゃんの胸にローションがわりのボディソープをたっぷり滴らすと、チンポを押しつけていく。

 亀頭で乳首をノック。先走りの粘液で濡れた先端を、乳首の突起の側面に擦りつけていく。

「あっ……」

 一子ちゃんが声をあげる。

 でぶは目を細めると、一子ちゃんの胸の谷間にペニスをはさみ込んだ。ローションでぬるぬるになった谷間に肉の棒が埋もれている。

「ね、これで、両側からはさんで」

「こ……こうですか……?」

 両手で自分のおっぱいを支えると、一子ちゃんはそれを上下に動かした。柔肉にはさんでチンポをしごきはじめる。

「うはあ……すごく気持ちいい……」

 でぶが嘆息する。ちくしょう、そのおっぱいはおれんだぞ!

 おれはでぶ男をぶん殴ろうとして拳を振るった。

 すか。

 当たらない。当然か。いまのおれは生き霊なのだ。

 と、勢いあまっておれはでぶの身体に、すぅっ、と入り込んでしまった。

 気がつくと、おれはでぶの肉体のなかにいた。なんてこった。おれはこのでぶに乗り移ってしまったのだ。

 しかし、宿主の身体を操ることまではできないようだ。感覚を共有するのが精一杯らしい。たぶん、本人の魂を追い出さないと、肉体の支配権は得られないのだろう。

 それにしても――気持ちいい。

 一子ちゃんのおっぱいの温かさと柔らかさ、肌のなめらかさとボディソープのぬるぬる感。それが亀頭のつけねを刺激して、たまらない。

「さ、先っぽをしゃぶってよ」

 でぶが腰を突きあげながら、一子ちゃんにリクエストする。一子ちゃんは首を前に倒して、でぶのペニスの先端を口に含んだ。おっぱいを持ち上げるようにして、茎をはさんだままでだ。なんという心地よい圧迫感――そして、鈴口のあたりを舌でくすぐられる快感――たまらない。

 びゅっ、びゅっ、びゅっ!

 一子ちゃんの口のなかで、でぶが射精する。おれも同時にイッている。でぶと感覚を共有しているというのはちょっとアレだが、体力を使わずに気持ちいいってのは、もしかしたらお得かもしれない。

「つぎはワシじゃ」

 かなり老齢のじじいがしゃしゃりでる。おいおい、こんなじじいが射精したら、死んじまうんじゃねーか?

「おれだよ!」

「オラだ!」

 順番待ちをしていた男たちが口々に自分の番であることを主張する。

「じゃあ、いっぺんに……」

 一子ちゃんがおずおずと提案する。まあ、この子は人助けと信じているからな。無邪気なもんだ。

 男たちのペニスを三本、どうやって扱うのかと思ったら、一子ちゃんは左右の手に一本ずつ握りしめ、しごきたてはじめた。そして、中央の一本を口にくわえると、顔を前後に動かす。

「おあっ」「うっ」「いいっ」

 年齢も体格もバラバラな男たちが口々にうめく。

 それぞれ、一子ちゃんくらいの孫や子供がいる年頃だろうに、ピンピンに勃起したものを舌や指で刺激されて、だらしなく口をひらいている。

 おれは男たちのなかを通りすぎた。スキルアップしたせいか、男たちの受け取る快感を三人同時に感じることができる。すげーな、チンポが三本生えて、同時にしごかれたらこんな感じなのか。

 一子ちゃんの指が松笠のくびれをこする。唇の輪が締まり、口蓋のでこぼこに、敏感な男性器の突端があたる。じゅぷじゅぷ、唾液が音をたてている。やっぱり左手の動きはぎこちなくて、単調に上下にしごくだけ――それでも、懸命な一子ちゃんの表情を見ているだけで高まっていく。男たちの睾丸がせりあがっていく。

「こっちのも舐めてよ」「こっちもお願い」

 手コキに満足できなくなった男たちが左右から一子ちゃんに声を浴びせる。一子ちゃんは首をめぐらせて、三人の男たちの男根を順々にしゃぶっていく。

「んおおお」「おふっ」「ふがっ」

 思い思いの声をあげつつ、男たちがペニスを一子ちゃんの顔に押しつける。次々と射精していく。トリプルの顔面シャワーだ。

 その快感をおれも味わっている。失神しそうだ――って生き霊が失神したら、ほんとうに冥土行きかもしれんな。

「ぷふッ……ふあ……はあ、はあ、はあ」

 大きく肩を上下させつつ、一子ちゃんがあえぐ。顔や髪にたっぷりと男の体液をまぶされ、口許から白い粘液をたらたらこぼしている。

 それでも、まだ男たちの半分が残っている。

「次はおれ」「ぼくのも」「ミーも」

 男たちがペニスを突き出す。

 だが、一子ちゃんは口を開いたまま、首を横に振る。

「あごが、疲れて……すこし……休ませて……ください」

「だめだって、みんな苦しくてがまんできないんだよ」

 股間を屹立させた男がなじるように言う。

「ごめんな……さい」」

 男は一子ちゃんの後ろにまわって、ヒップに手を触れる。

「口がだめなら、お嬢ちゃんのココを使わせてもらわにゃ」

「あっ」

 男が一子ちゃんの股間をいじっている。その部分は先程おれがたっぷり可愛がってやったおかげでヌチョヌチョだ。いや、さらに濡れ具合が昂進しているようだ。おつゆがあふれて、内股までベトベトになっている。

「お嬢ちゃんもみんなのチンポをしゃぶってて、いやらしい気分になってきたんじゃないの?」

 中指で入口を探りながら、男が一子ちゃんに訊く。

「そんな……こと……ありません」

 否定しつつも一子ちゃんは抵抗しない。男は調子に乗って、指を、一子ちゃんの中へ――

「あうっ!」

「うわあ、キチキチだ……。でも、濡れてるから奥まで指が入るよ、ほらあヌルヌルッ」

 一子ちゃんのおまんこの奥をいじくる。熱くてせまい膣の壁の凹凸を、男の指を通じておれも感じている。

「あ……ああ……」

 甘い声とともに一子ちゃんがおしりをあげていく。床に顔をこすりつけるようにして、まるで、もっとしてください、と言わんばかりだ。

 男たちの目に15歳の処女の秘部がさらされる。肛門もその下のワレメもばっちりだ。しかも、そのワレメの穴には、男の中指が挿入されてうねっている。いやらしすぎる光景だ。

「口で出来ないんだったら、ココでチンポをこすってもらおうかな。そうすりゃ、お嬢ちゃんも気持ちいいんだし」

「そ……んな……」

「だめかな?」

 男が指を曲げる。Gスポットのあたりだ。一子ちゃんの背中がうねって、きれいな脊椎のラインが浮かびあがる。

「そこぉ……っ! へん……ですぅ」

 足の指をきゅうっと曲げて、必死でこらえている。

「ここ? ここかな?」

 男は笑いながら、一子ちゃんの感じるスポットを探る。みるみる粘膜の充血が増していき、大陰唇は膨張し、アヌスもピンクが濃くなっていく。

「んあっ! んくぅっ……! く……はあっ!」

 一子ちゃんが苦鳴をもらす。性的な快感という概念をまだ持っていない一子ちゃんは、自分の身体の奥底からこみあげてくるものにどう対処していいかわからず、ただ耐えるしかないのだろう。

「クリちゃんもこんなにおっきくして」

「ほんとだ。充血して顔を出してらあ」

 ほかの男たちも手を伸ばす。一子ちゃんの股間を複数の指がまさぐりはじめる。

「おしりの穴もほじくってあげる」

 アヌスにも指が埋まっていく。

「いやです……っ、そこは……いやあっ!」

 ウンチをする穴まで弄ばれて、一子ちゃんの声が悲鳴に近くなる。しかし、その唇にペニスがねじ込まれると、条件反射なのか、舌を使いはじめてしまう。

「んむううう……くっ……ふぅぅぅ……」

 一子ちゃんの眉根に刻まれていた深いしわが、少しずつ浅くなっていく。

 男たちの指がもたらす刺激に神経を溶かされてしまったのか、自分でおしりを小刻みに動かしはじめる。

「気持ちよくなってきた?」

「おしりの穴もしっとりしてきたよ」

「ほらほら、クリちゃんが尖ってきたよ」

 たくさんの指が蠢く。

「おっぱいもいじってあげるね」

 また別の男が、四つん這いの一子ちゃんの乳房を下から掌で受けて、くにゅくにゅと揉みあげる。乳首を指で責めながら、耳に唇をつけて舌でねぶりたおす。

 十人の男たちが一子ちゃんにむらがっている。なんとかしていいポジションを取ろうと、押しあいへしあいしつつ、それでもそれぞれが一子ちゃんの身体をまさぐっている。

 呼吸が苦しくなったのか、一子ちゃんは咥えていたモノを吐き出した。

「ああ……はあ……はあ……はあ……」

 顔が真っ赤で眼はうつろだ。

「身体が熱くて……も、だめです……もお……」

「じゃあ、この穴にチンポ突っ込んでもいい?」

 一子ちゃんのあそこをいじくっていた男が念押しするように訊く。指でかきまわされて、一子ちゃんは気持ちよさそうに鼻を鳴らしつつ、こくこくとうなずく。

「はい……いいです。入れてください」

「どろどろの膿をお腹のなかに出すけど、いいよね?」

 一子ちゃんはまたうなずいた。

「使って……ください……わたしの穴を……お役にたつのなら……」

つづく


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