ジャリン戦記 第四話 ダンジョン・シーカー(第七回)


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「た、助けてくれたのか……?」

 キースが震え声で訊いてくる。

 おれは答えない。助けたといえばそうなのだが、本意というわけではない。マモンが指摘したとおり、またやっかい事をしょいこむ結果になるかもしれない。

 一歩、おれは進み出る。

「な……なんのつもりだ?」

 おれの表情になにを感じたのか、キースは身体を引こうとする。いまのうちに身の安全を確保しようというのだろうが、いかんせん。

「う、あ……あっ?」

 動けないらしい。そうだろう。マモンの責めをたっぷり受けたのだ。

「はっ……はぁ……」

 手足の自由がきかない状態で、胸を波打たせている。

「あいつの毒を注入されたんだ。極悪の催淫剤――それが全身にまわりはじめたらしいな」

 おれは、のたうつ女体を見物しつつ、説明してやる。

「あの魔神は、女をいかせるのが趣味――っつーより、それがやつの餌なんだ。蚊が動物の血を吸うときに毒素を出して、血が固まらないようにするのと同じさ。女がいきやすくなるように毒素を注入する。それが脳に働いて、おそるべき効果をもたらす」

「ど……どうなるんだ」

 キースの目が恐怖に彩られる。おれは、もったいをつけて言った。

「まあ、十人に九人までは狂うな」

「うそつけ……! あ……ああ!? か、ゆい……かゆい……なんだ、これは」

 キースは自ら股間に指をはわせた。おれが見ていることも忘れているらしい。いや、わかっていてもどうしようもないのか。

「かゆ……い……ジャリン、見るなあっ!」

「おーお、まっかっかだな。発情した雌ザルのまんこよりすげえな、こりゃ」

「ああ……いや……そんな……」

 長い指で性器をかきまわし、キースは声をあげる。

「熱くて、かゆくて……がまんできない!」

「おいおい、そんなにしたら奥までまる見えだぞ」

 キースのやつめ、アソコをぱっくり開いてやがる。奥に風でも送り込もうってのか?

「見るな……見ないで……こうでもしないと、中に……入れたく……なってしまう」

「へっへえ? なにを入れたくなるんだ?」

 おれは暴れん棒をひくつかせつつ、キースに質問する。キースの視線がおれのペニちゃんに吸い寄せられるのがわかる。欲情した女の目だ。だが、すぐに顔をそむけて毒づく。

「そ、そんなもの、早くしまえ! 変態め」

「そーゆーおまえはなんだっつーの。おまんこフルオープンでよがってるくせに」

「う、うるさい! い、いったん、気をやれば、こんなかゆみなど……」

 キースの目はヴュルガーを探しているようだ。なるほど、愛剣を使ってのオナニーを考えているのだろう。

 だーが。

「ヴュルガーはマモンに抜かれまくってしばらくは役立たずだ。もっとも張型のかわりにはなるかもしれねえが、それじゃあ、マモンの毒はぬけねえぜ。生身のチンポをつっこまねえことにはな」

「く……っ」

 ペニスをしごきながら、身体を寄せていくおれを、キースは複雑な表情で迎えた。理性では拒絶しているのだが、肉体はもう矢も盾もたまらないほどに男を欲している。そのギャップに戸惑っているのだ。

 はっきしいって、世界でもっとも色っぽい表情はこれなんだよな。

 ぴと。

 腰をくっつける。反り返ったものが、キースの溝に密着する。ぬるっとした感触。熱い、熱い。やけどしそうなほどに火照ってやがる。こりゃあ、つらかったろうな。

「あ……うそだ……こんな……」

 顔を真っ赤にしながらうろたえるキース。その部分同士が触れた瞬間の心地よさに、動揺したのだろう。一瞬、目を閉じて、陶酔してやがったもんな。

「ほうら、入って行くぞぉ……」

 キースの入口に先端をこすりつけながらおれは言う。キースは逃げない。むだな抵抗はあきらめたようだ。 おれのことをじっと見ている。

 白い歯が見えた。

「本気か、ジャリン」

 なにが〜?

「それ以上するということは……わたしと夫婦になるということだぞ」

「おいおい、一発ヤッたからって結婚しなければならないという決まりはないぞ。そんなことも知らないのか、お・ば・か・さ・ん」

 こいつう、とキースのおでこをつつく。だが、キースはその指に噛みつかんばかりに吠え立てる。

「ばかはおまえだ! わたしは、責任というものの話をしている! もしも子供ができたらどうするつもりだ!?」

「おめでとう、と言うだろうな」

 なんならよだれかけをプレゼントしてもいい。ガラガラもいいな。たしか、実家の物置におれが使っていたやつがあったはずだ。まだ家が物理的に存在していたならば、だが。

「き、さ、ま、他人事のように! なぜ、そんなに緊張感がないのだ! わたしの婿になるとすれば、きさまはクラウゼヴィッツ家を継ぐことになるのだぞ!? 栄えある騎士の称号とその領地を守る貴族に――」

「ならねーよ」

 おれは答えた。

「おれはジャリンだ。なんの称号も肩書もねえ――ジャリンさまだ」

「な、ならば、それ以上はやめろ。わたしを騎士として、純潔を保ったまま――狂う前に、いっそ……死なせてくれ!」

 悲痛な叫び。肉体は激しくおれを求めている――だが、魂はあくまで騎士たらんとしているのだ。

 感動した!

 よくぞそこまでおのれを律した!

 きみこそ騎士のなかの騎士だ!

 えらいぞ、キース!

 ごほうびをあげよう。

 ずぷうっ!

「あ、ひぃっ!?」

 騎士の決意はどこへやら、キースがおれにしがみついてくる。ふわふわのおっぱいが当たるなあ。

「な……? ど、う、し、て……!? お、ま、え、は、自由が……よいのだろ……?」

 おれは、息もたえだえなキースの問いに答えてやる。

「いいか? おれはな、目の前に別れ道があった場合、必ず、気持ちいいことができる方を選ぶのだ! どうだ、まいったか!」

 言いつつ、キースの奥におのれの分身を沈みこませる。

「う、あ……ひた……ひたひ……」

 今度こそ正真正銘の処女喪失だ。破れかけて半ば癒着しかけていた膜を、はっきしいって、ずびし!とぶち破ったね!

「ほうら、キース、これでおまえは女だ。もう騎士の掟にこだわるこたはねえぜ?」

「ば、か……もの」

 泣き虫キースが熱い吐息をもらす。

 おれはかまわず突いた。キースは悲鳴をあげつつ抱きついてくる。

 いい感触だ。熱くて柔らかくて締まっている。さすがは騎士として鍛え抜かれた肉体である。

 むろん、自分の意志で筒を使うなんて技は持っていないが、素材としてはかなりのものだ。

「あ……っ、はぅぅ……」

 奥の突きあたりに届くたびに、キースは顔をしかめる。子宮をつつかれて、その部位を意識しているのだろう。女であることを実感してるのかもな。

「これ以上は……もぉ……」

 キースの声がうわずる。早いなぁ。まあしょうがないか。

「じゃあ、出すぞ」

 おれは腰の動きを速めた。

「あっ、あっ、はっ、あうっ! な、中は、だめ……っ!」

「え〜、い〜じゃん」

 だって、中出し最高だし。

 だが、キースは必死だった。声をはりあげる。

「だめだ! ぜったいだめだ! 中で出したら殺す!」

 ほとんど絶叫だ。

「わ、わたしの家系は、に、妊娠しやすいんだ!」

「へぇ〜」

 かまわず、腰を使い続けるおれ。フィニッシュは近い。

「う、うそじゃない、わたしの母は八人子供を産んだ。わ、わたしが末っ子だ! 姉たちも、みんな三人、五人と産んでるんだ――それも女ばかり!」

 いわゆる多産系か。しかも女系の。

「なるほど、それで、跡継ぎになるために男装していたってことか」

「お願いだ、外に……外に出してくれ……!」

「ふ〜む」

 どうやら本当らしいが、どうするかな〜。

 たんに外に出したのではつまらない。

 おれはキースの顔を見下ろした。

「全部飲み干すっていうんなら、いいぜ」

つづく。


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