1
最近、ウリバタケを中心に、なにかよからぬことが進行しているらしい。
まあ、いつものことだが。
「それって、ほんと? ルリちゃん」
しかし、それは、艦長であるミスマル・ユリカには看過できない情報だった。というか、たんに噂ばなしが好きだ、という説もあるが。
「確かなようです。思兼(オモイカネ)のモニターを巧妙に回避していたようですが、CPUアクセスのタイムシェアリング、物理メモリ、バックアップメモリディスクともども、かなりのリソースを消費しています。非戦闘時だからいいですけど、べつに」
メインオペレーターのホシノ・ルリがいつもの無機質な口調で報告した。
「まったくぅ、艦長さんに無断で、貴重なコンピュータ資源を使うなんてゆるせないぞ、ぷんぷん」
「現在、バーチャル・ルームを中心に電力消費量が増大しています。どうやら、そこでなにか作業をしているみたいですね」
「モニターは出ないの? ルリルリ」
グラマー美女(と表現するしかない)のハルカ・ミナトが、操舵席からルリにあまったるい声をだす。
「コマンド、拒否されました」
ルリの冷静な声。最近、ルリルリという愛称にも慣れたようだ。
「どーしてー?」
航法席で小首をかしげているのはメグミ・レイナードだ。もと声優で、艦内でも一部に熱狂的なファンがいるらしい。
「ウリバタケさんがリアルタイムに防御プログラムを展開しているようですね」
ルリはいくつかコマンドを試しているようだ。彼女の手の甲に幾何学模様が変形しながらうかびあがっている。極微のロボット、すなわちナノマシンが体内に注入されていることとの証しだ。
「へー、ルリルリとはりあう気なんだあ」
ルリがちょっと横目でミナトを見る。わずかにインターフェイスにかざした手を動かす。
モニターが回復した。
「アキトだあ!」
ユリカがかんだかい声をはりあげた。
モニターは、バーチャル・ルームのなかのようだ。アキトとウリバタケ、そして整備班の連中がかたまっていた。
「なにしてるのかしら、アキトさんたら」
メグミが言いかけたときには、すでにユリカはブリッジから飛びだしていた。
「あっ、艦長、ずるい!」
あわてて席をたちかけるメグミ。
「ちょっとまって、メグミちゃん」
ミナトが制止する。
「様子見たほうがいいみたいよ……」
2
「なんだよっ、なんで、おれがそんなことやんなきゃーいけないんだっ!?」
テンカワ・アキトは恒例の悲鳴じみた大声をあげていた。
その肩にポンと手をおいたのはウリバタケ・セイヤだ。
「テンカワ、この芸術作品を完成させるためにはおまえの知識が必要なんだ」
「これのどこが芸術なんだよ!?」
アキトはバーチャル・ルームの中央部を指さした。
そこには、水着姿のメグミ、ネグリジェ姿のミナト、セーラー服姿のルリがいた。そして、制服姿のユリカも直立ポーズを取っている。
それは、どうやら立体映像のようだ。ここはバーチャル・ルーム。CGと現実を合成して、さまざまな体験をすることが可能なのだ。
「これこそ芸術だ。ちがうか? ここにいる女の子は、現実の女のように打算的でも利己的でも自己陶酔的でも支配的でもない。男の要求にはかいがいしくこたえ、その欲するところを満たし、かつ心に毒を持たない理想の存在だ。フィギュアは形のみをうつしとるが、バーチャル・ルームの機能を最大限に生かしたこの立体映像は、まさに究極の女らしさを具現化したものだ!」
ウリバタケが熱っぽく語るのを、アキトは迷惑そうに顔をしかめて聞いていた。
「だからといって、なんでおれがユリカのサイズを設定しなきゃなんないの」
「当然、リアリティを追求するためだ」
「だから、なんでおれがっ!」
「とぼけるなよぉ」
ウリバタケが唇の端をゆがめて言う。
「艦長はおまえにぞっこんだ。どういうわけかしらんがな。艦内で販売されている同人誌の九割方がおまえと艦長の濃い濡れ場を載せているんだぞ?」
「そんなの知るかっ!」
「ほお、そんなことを言うのか、テンカワ」
ウリバタケはニヤリ笑うと、指をひとつ鳴らした。
立体映像が動きだした。
メグミがビキニのブラのひもを外した。
おわん型のバストがあらわになる。乳首はちいさめで、ちょっと尖りぎみだ。
「わっ! メグミちゃん、なにを!?」
立体映像とはいえ、見た目は実物となんらかわらない。
「ちなみにこの映像は、彼女が声優デビュー当時に結成していたアボガドエンジェルの立体写真集を元データにしているから、ほぼ本物といってもいいぞ。なにしろ、あの写真集は、ヌードにこそなっていなかったが、ビキニの股間接写や、乳首スケスケTシャツありの過激版だったからな」
ウリバタケが自慢たらしく言う。
「アキトさんぅ、しよおぉ」
メグミがうっとりとした表情を浮かべて、アキトにすがりついてきた。
3
「やっ、やめなよ、メグミちゃん、みんなの前なのに……」
立体映像であることを失念しているアキトである。なにしろバーチャルルームでは、立体映像の手触りや重さも実物同様に感じることができてしまう。
「いいから、いいから」
笑みくずれつつ、膝立ちですり寄ってきたのはミナトだ。彼女はアキトの股間のジッパーを下げ、固くなっている男のシンボルを取り出した。
「う、うそだろぉ!?」
アキトは狼狽した。むろん、露出している男根もCGなのだが、ほんとうに興奮している状態でもあり、自分でも判別がつかないのだ。
「んふふ、こんなにしちゃって」
ミナトは、あつぼったい唇をひらき、アキトの男根を口に含んだ。
舌と唇を使っている。
「うおっ」
アキトはたまらず声をだした。
「ふふん、このテクもゴード氏の寝室に備えつけのコンドームに隠したセンサーによる実データに基づいている。検証によれば、氏は三回に二回はミナトさんの口のなかで果てているようだな」
「うそだ……ミナトさんが、こんな……」
でも、気持ちよさのあまり、知らずに腰をうねらせているアキトであった。
「だめ、アキトさん、あたしにも」
メグミがアキトの手を取り、自分のビキニのパンティのなかにみちびく。
ちょっと濃い目の陰毛を指先に感じ、そして、熱くしめった部位にたどりつく。
固い芽を指先に感じる。
「んあっ、アキトさん、いい……」
男の勃起中枢を刺激せずにはいられない愛らしいあえぎ声。
ウリバタケが高笑いをはじめる。
「どうだ、メグミちゃんの生理用ナプキンに仕こんだセンサーが描きだした、彼女の秘められた場所の感触は? その回収のために、おれは多大な苦労をしたのだからな」
整備班の男たちが偉大なリーダーに盛大な拍手を送った。
「それに!」
ウリバタケはポケットからビデオソフトを取り出す。
「これを手に入れるには苦労した。メグミちゃんの出世作、エロアニメの金字塔、くりいむ金時シリーズ第十八弾、『ロリっ子エンジェル・マイマイ アイミー』! ここでは三十分メグミちゃんはあえぎっぱなしだからな。そこからずいぶんサンプリングさせてもらった」
「そこまでするか、フツー」
アキトは唖然としていたが、哀しい男の本能は発揮されていた。メグミのやわらかい身体を抱きよせ、バストを左手で揉みながら、右手はそのいやらしい粘膜をいじめている。指先はすでにネチョネチョだ。
「あんっ、あはあ……すごくきもちいい」
恍惚とした表情をメグミはうかべている。そばかすが浮いた頬が上気していて、とてもかわいらしい。
「あたしもいるのよ」
ミナトがネグリジェを脱ぎすて、パンティさえもおろしてしまっていた。重量感のあるつりがねがたのバストで、アキトのイチモツをはさみこんだ。
「ううっ、よすぎる……」
アキトは甘美な射精感がさしせまってくるのを感じた。
「ね、いいでしょお?」
やわらかいおっぱいで敏感な竿をつつみこみ、こねるようにうごかす。アキトは自分の男根がモチつきの杵になって、白いおもちをこねているような錯覚におちいった。