後日――B.A.B.E.L.本部の廊下にて。
「だから、約束だろ、約束!」
白いドレスの裾をからげた薫が皆本にタックルする。
「だからといって、そんなことできるかっ!」
「なんでやのん、皆本はん、ウチと約束したやん。ぼくが責任を取るって、あれウソなん?」
白無垢姿の葵もテレポートで現れて皆本にかみつく。
「責任はとる! だけど、なあ……」
「あら、男らしくないわ、皆本さん、わたしと結婚の約束をした以上、ちゃんと守ってもらうわ」
やはりドレスを着た紫穂がにっこりとほほえむ。薫と紫穂が着ているドレスの名前は、ウェディングドレスという。葵は白無垢の上にテレポート着付けを敢行、たちまち文金高島田の花嫁姿となる。
「あれはそういう意味じゃない! 結婚だなんてそんな! しかも三人同時とか、むちゃくちゃすぎるだろ!」
「あたしら、もう、まっとうにはお嫁にいけないカラダにされちまったんだから、これはもう皆本に責任とってもらうしかないよな」
「せやせや! その約束があったからウチらがんばれたのに」
「皆本さん、わたしたちと結婚するのがそんなにいやなの?」
「きみたちはまだ子供だっ!」
お約束のせりふを叫ぶ皆本。だが、いつものように三人は激高せず、ふっ、と余裕のある笑みを浮かべる。
「でも、もう女だぜ」
「赤ちゃんかて作れるしな」
「中でイケるようになったしね」
「くぅっ……」
レベルアップした三人の反撃にたじたじとなる皆本。
と。
そこに明と初音が飛び込んでくる。
「明ぁっ! しようよ! ね、しよぉー!」
逃げる明に初音がしがみつく。振りたくっているしっぽが見える。
「ばかっ! 初音! みんな見てるだろっ! 仕事中にサカるな!」
顔を赤くする明。そこに小鹿がやってくる。
「だめでしょ二人とも、訓練中に発情しちゃ。あとで、ちゃんと時間をとってあげるから」
「ほんとか、小鹿! 小鹿も一緒にやろう! 小鹿のおっぱい柔らかくて好き!」
「わたしも初音ちゃんのスレンダーな身体とか、ザラっとした舌の感触とか、大好きよ」
「いや、だから、初音も主任もそういうことを堂々と言うのはやめようよ」
明は耳まで赤くなり、初音と小鹿を引っ張って行く。
ザ・ハウンドのチームワークは以前に増して緊密になったというが――
「どわーっ!」
そこに飛び込んできたのは半裸の毛むくじゃら男。
「ナオミっ! ナオミ、さすがにもうダメだ、勘弁してくれ!」
パンツ一丁で懇願するのは谷崎だ。
そこにドアを蹴破って入ってきたのは梅ヶ枝ナオミ。ブラとパンティだけのあられもない姿で、しかも下着の趣味もまったく以前とは異なる真っ黒なセクシーなもの。
「こらあっ! オジン! 日に五回のお勤めもできねえってのかい! わたしはもうオジンでないと感じない身体になったんだから、主任ならちゃんと面倒みろよな!」
ヒールで谷崎の背中や頭をげしげしと踏みつける。
見れば、谷崎の身体には同じようなアザが――
「ひっ、ひぃぃっ! これはこれでーっ!」
喜悦に震える谷崎。
ナオミはサイコキネシスで谷崎を引きずりながらワイルドキャットの控え室へ――
最近、谷崎主任の頬がげっそりこけてきた反面、ナオミの方はますます溌剌として、ふだんの清楚さにも磨きがかかっているとかいないとか。
「ナオミちゃん……元気になってよかったね」
「ストレスの発散方法が見つかったからな」
「谷崎主任の命がもてばいいけど……ま、本望でしょうね」
ザ・チルドレンの三人はおたがいの顔を見合わせる。
「あたしらも」
「せやな、思った通りに行動せな」
「じゃ、お願いね、葵ちゃん」
衣服の瞬間テレポート!
「うわっ! おまえら……うぷっ」
全裸にされた皆本の上に、三人の裸の天使が降り注いできた――