初音は四つん這いになり、明のマウントを待った。初音が自分からその姿勢を取ったのだ。
「明」は初音の尻を無造作にまたぐと、深々と挿入した。
明は、自分でないモノが操る自分の肉体と初音が性交しているのを見ていた。まさかこんな形で実現するとは……
その日が来ることを想像したことがなかったわけではなかった。子供のころから、それこそお互いオシメをしている頃からのつきあい。初音の裸はずっと――数年くらい前まで一緒に風呂に入るくらいだったから、よく知っている。いや、知らない。あんなに胸がふくらんでいることも、腰がくびれて、ヒップが張り出していることも。アソコの粘膜が壊れてしまいそうなくらい淡いピンクで、クリトリスが充血しても包皮からわずかに顔を覗かせる程度ということも――
その身体を男たちが蹂躙し、さらに「明」によってむさぼられていることも、その光景が撮影されて全世界に流されていることも――
想像の埒外、ありえべからざる悪夢、そして、現在進行形の現実。
「ハツネノマンコ、イイ。コジカトオナジクライ、イイ」
「あっ、明のオチンチン、すごい……よっ! あきら、あきらぁっ!」
初音は「明」のペニスで膣癖をこすられて、半ば意識を飛ばしていた。小鹿圭子と性器の具合を比べられていることも、もちろん理解していない。
明と一緒に気持ちよくなることしか考えていない。
「あきらっ! きもちいっ! きもちいいっ! 初音、すごく、気持ちいいっ!」
体位を自ら変えることを求め、「明」と抱き合い、初音は乱れた。
唇を合わせ、舌をからめ、「明」の上で腰を振りもした。
最後は、やはりバックだった。初音の丸い尻を抱えて、「明」はガンガン突きまくる。
「ああっ! あっ! あきらっ! あきらぁぁぁっ! ぃくっ! 初音、いくっ!」
初音がきゅいきゅい締め上げるたびに、アヌスがひくつくのを「明」は興味深げに見つめていた。
「コッチノアナモ、オモシロソウダ」
指をこじ入れる。
「ひぁっ! ぁあああっ! 明、そこ、ちが……」
「ニンゲンハ、コッチモツカウトオソワッタ。ドンナコガウマレルカシラナイガ」
犬にしてみれば、交尾はあくまでも種付けのためにおこなうものだ。人間のように、「別の穴」を使うことなど考えない。だが、「明」となっているドーベルマンの意識は、人間の性行動にいたく興味があるようだった。
「ソウダ――オレノカラダヲツカオウ」
「明」は、ドーベルマンの明に視線を向けた。
「おしっ……おしりはダメっ! んあああっ! ぃくぅぅぅっ!」
初音が子宮をペニスで突き責められ、肛門を指でもてあそばれながら、一気に絶頂に達する。
「明」も射精する。ほかの牡の精液をかきだした上で、子宮の入口に亀頭を密着させながら、たっぷりと。
『やめろっ! やめろやめろやめろーっ!』
明はわめいた。身もだえした。あたりかまわず噛もうとして歯をガチガチさせた。
だが、無駄だった。E−ECMの影響下では、明の身体の自由は奪われていた。そうでなくても、しょせんは犬だ。戦闘訓練を受けた人間たちにかなうはずもない。
明の股間は――犬のペニスは――勃起していた。目の前で初音が犯されるのを、ただ見ていることしかできなかったのだ。情けないが、股間の変化をどうしようもなかった。
「ハツネ、コノイヌトコウビシロ」
「明」が命じる。
初音はもちろん尻込みするが、「明」の命令には逆らう気力がないようだ。
「明がしろっていうなら……」
「タダシ、ケツノアナデダ」
「えっ!?」
ドーベルマンのペニスは人間のモノと変わらないサイズだ。長さはむしろ人間以上。赤紫色の紡錘形の異物だ。
「む、むりだよ、そんなの」
「ヤレ」
動物の世界のルールはシンプルだ。上位のものの命令は絶対。
すでに男たちにも「明」にもマウントを許している初音は、このグループの中では最下位だ。
このドーベルマンが自分より上だとしたら、陵辱を受け入れなくてはならないのだろう。
だが――
ドーベルマンは悲しげに吠え、抵抗している。
その瞳はなぜだか――明を思い出させた。
初音も悲しくなった。「明」と結ばれたのはいやじゃなかった。だが、「明」は明らしくなかった。むしろ、このドーベルマンの方が、ずっと明のように感じられる。
『初音、わからないのか!? おれだおれが明だ!』
ドーベルマンが悲鳴じみた声をあげている。だが、初音には、ドーベルマンの放つテレパシーは届かない。そもそも、E−ECM影響下では、超能力は意図したとおりには作用しないのだ。
「いいよ……交尾、しよ」
初音はおしりをかかげ、自分で肛門を左右に広げた。
「まさか、アナル処女を犬に捧げる中学生がいるとはな。前代未聞ってやつだ」
撮影役の男があきれたようにつぶやく。
『初音……っ! だめだ……っ!』
ドーベルマンのペニスがむりやり初音の肛門にあてがわれる。
「んっ……ぅっ」
初音のくぐもった声。
もぐっていく。犬のペニスが初音のおしりの穴に。
『うわあああああっ!』
明は絶叫する。
初音の粘膜の感触、熱さ、狭さ、そして――
「あ……明……入れて、いいよ、あきらっ!」
初音がわめく。
明は何が何だかわからなくなり、自ら腰を使い始めた。
*******
「初音……っ」
「うそや……あんなん……」
「遅かったのね……」
巨大モニターに映し出されたライブ映像に、ザ・チルドレンは打ちのめされた。
大型犬が初音を犯している。
ドーベルマンだ。長い舌をだらりとたらし、荒い息をしながら、腰を小刻みにたたきつけている。
初音も、明らかに感じている。甘い声をだして、犬のペニスが外れると、自分で導いて入れ直している。
犬のペニスは、肛門と、膣、それぞれを交互に犯しているようだ。すでに何度か射精しているらしく。結合部からは男女――いや、雌雄の体液のまざりあったものがこぼれている。
もう、初音も、雌犬そのものになってしまったかのようだ。
「どうも、身体の相性がバッチリらしく……ずっとセックスしているそうですよ」
広報担当者がほほえましいニュースを読み上げるアナウンサーのように言った。
「ちなみにこの映像もリアルタイムでネットに放送中です。大反響みたいですね……」
「ぜってぇ……ゆるせねぇ……」
薫の髪が逆立ち、全身からオーラがたちのぼる。
「あかん、薫!」
「超能力はだめ!」
「――ふっ」
広報担当者は笑みをもらした。その顔面めがけて薫は最大級のサイコキネシスを――
バジャッ!
一時的に全電気容量が消尽されし、全施設の電源が落ちる。
復旧に数十秒を要したが、それはザ・チルドレンの逆転を意味しなかった。
******
「ふぃ−、なんてパワーかの……レベル7と聞いておったが、予備のシステムを用意しておいてよかったわい」
車椅子の老人は肘掛けにとりつけられたモニター類を確認して、ため息をもらした。
そのうちのひとつ、ロビーを映しだしているモニターには、自らのサイコキネシスを性的快感に変換されて身もだえする明石薫と、その薫を解放しようとする野上葵、三宮紫穂の姿が映し出されていた。