レディラグジュアリークサナギ。
女性専門のエステティックサロンだ。
会員制、完全予約制。芸能人の利用も多数。一回の施術料は十万円以上という高級さ。
もとはリゾートホテル内で営業していたのだが、最近になって都内に支店を開設した。それも、銀座や赤坂といった一等地ではなく、ごく平凡な商店街の一角にだ。江戸時代は旗本が住んでいたという土地柄だから、近くには高級住宅街もあり、着眼点はよかったのかもしれない。おかげで、店は予約客で常にいっぱいだった。
その、レディーラグジュアリークサナギの売りは、三人の凄腕エステティシャンがその技量をあますところなく注ぎ込むヘブンコースだ。高い料金にも関わらず、予約待ちが一か月に及ぶほどの人気を博している。
「まあ、欲求不満の金持ちババアがどんだけ多いかってことだわな」
エステティシャンの一人、田中がタバコの煙を吐きながら言った。つるっぱげで細身。細い目が狡猾そうな中年男だ。
「ったくだ。ここ舐めろ、どこいじくれって、うるせーのなんの」
もう一人のエステティシャン、山本が缶コーヒー片手に応じる。こちらは固太りでいかにも善良そうな丸顔だが、常に口元に冷笑が浮かんでいる。
「どんなキッツイ腐れまんこでも、ちゃあんと面倒みてやるんだから、おれたち偉いよな」
そう引き取ったのは、筋肉質で浅黒い肌だが、顔は類人猿に近い三人目のエステティシャン、佐藤だった。
彼ら三人は、スタッフ控え室でくつろいでいた。豪奢な革張りのソファがあり、冷蔵庫には缶ビールなども入っている。完全予約制だから、仕事のペースはコントロールできる。予約が入っていない時間帯はこうしてだべっているのだ。
実際のところ、エステティシャンといいつつ、この三人にはエステのスキルはなく、客のほとんどをさばいているのは、女性スタッフたちだ。彼女たちはまっとうなエステティシャンで、田中や佐藤たちが担当している仕事の内容さえわかっていない。このスタッフ控え室も彼ら三人専用で、ほかのスタッフからは隔離されているのだ。
彼らの仕事は、特別コースに申し込んでくる有閑マダムの相手だ。要するに性感マッサージ師だ。
「仕事だから、どんな雌ブタでも天国に送り込んでやっけどな」
「しかし、ブヨブヨの脂肪の塊の奥のドス黒いまんこを舐めるのはきついぜ」
「吐きそうになるのを必死で我慢してな」
三人はゲラゲラ笑う。
「ま、そういうつらい仕事をしているからこそ、ごほうびタイムが格別ってわけだ」
「まったくだ」
「今日だよな……ひっひっひっ、ちゃあんと無料券を使ってくれてうれしいねぇ」
今度は三人はヒッヒッヒッと笑った。
「おっ、今日はなんにするかい、一子ちゃん」
肉屋のオヤジに声をかけられ、一子は笑顔をかえす。
「ええと、あのぅ、コロッケを6つほど」
「一子ちゃんちは食べ盛りがたくさんいるだから、ほら2個おまけしとくぜぇ」
脳天の禿げた肉屋のオヤジが愛想よくコロッケを包装する。
「いつもありがとうございます」
「一子ちゃん、今日はウチは用なしかい? いいマグロが入ったんだよ」
魚屋の角刈り店主が声をかけてくる。
「じゃあ、明日はお魚にしますね」
一子の微笑みに店主はにやけてしまい、「じゃ、明日はとびきりいい魚を揃えておくからよ」と張り切る。
「よっ、一子ちゃん、豆腐買っていきなよ、安くしとくぜ」
「いやいや、やっぱウチだろ? 野菜だけは毎日新鮮なのを買わなきゃ」
さまざまな店から男たちが声をかける。みんな中年以上だ。
「ったく、男どもときたら、宇多方のお嬢さんには甘いんだから」
商店街のおかみさんたちが苦笑する。
「ほんと、一子ちゃんは商店街のアイドルだねぇ」
「それにしても、ここのところ、ぐっと女らしくなったというか……」
女たちは一子の腰のあたりを品定めする。
「ますます綺麗になってきたねぇ……年頃ってやつかねえ」
宇多方一子は買い物帰りに、商店街の外れにある、ちょっとおしゃれめな雑居ビルの自動ドアをくぐった。
白いカーディガンにパープルのセーター、下はチェック柄の膝丈スカートにすらりとした生足、サンダルばき。ちょっと近所で買い物をというラフな格好である。
レディラグジュアリークサナギのあるフロアまでエレベーターでのぼる。
そのフロアには、昼間だというの、ごてごてと着飾り、装飾品にうずもれたような女たちがたむろっていた。女たちの視線がさっと一子に集まる。
たるんだ皮膚に高価な薬剤をふりそそぎ、さまざまな器具を用いて時間をつなぎとめようと無為な努力をしている女たちにとって、若さにあふれ、美しさの絶頂にあるかに見える一子の姿は、妬心と敵愾心を刺激させずにはいられなかった。
(なに、あの子、場違いな)
(スーパー帰りに立ち寄るような場所じゃないのよ、ここは)
(身の程しらずにも程があるわ)
女たちはひそひそと悪意に満ちた言葉を交わし合う。それは、自分たちが一子よりも優位にあることを何とかして証明して心の平安を得ようというあがきでもあった。
しかし、そのあがきは、フロントに向けて一子がかけた言葉で粉砕された。
「あのー、ヘブンコースを予約しているんですけど」
「はい、お待ちしておりました。宇多方のお嬢様」
女性スタッフがうやうやしく一礼をして出迎える。
(ヘブンコースって、常連しか申し込めないっていう……)
(いったい何者よ、あの子)
(庶民の格好をしつつ、もしかしたか財閥の娘かも……)
女たちは目をぱちくりさせつつ、スタッフに誘われて、普通の客には入れない、スペシャルなコーナーに進んでいく一子の後ろ姿を見送った。
控え室で服をすべて脱いだ一子は施術用のローブだけまとって、その部屋に入った。
ヘブンコースの客のために用意された特別室で、豪華なホテルの一室を思わせる調度類が置かれている。部屋のなかにはかぐわしいアロマが焚かれていて、豪華かつエレガントな空間を演出している。
施術台もふつうのものより大きく、ふかふかに造られた特別製だ。
そこには、三人のエステティシャンが待機していた。
田中と山本と佐藤だ。
「宇多方一子さん……お待ちしていましたよ」
田中が細い目をさらに細めて言う。
「はい、まだ無料券が残っていて……でもほんとうにいいんですか? 高いコースの無料チケットをあんなにいただいて……」
疑う様子もなくあどけなく首をかしげる一子。
「たいしたことはないですよ。気になさらず……さ、ベッドに」
山本が一子を施術台にエスコートする。
「これも脱ぎましょうね」
佐藤が一子のローブを脱がせてしまう。
あらわになる一子の全裸。
「よいしょっと……」
恥じらうこともなく、施術台に乗る一子。これからされることは、すべてエステのスペシャルコースと信じている。男たちのことも医師に近いような存在だと思っているのだ。
「では、いつものように、お胸から始めますか」
「お願いします」
「じゃあ、揉みますよ」
今日は田中が胸担当だ。
両手を使って大胆に揉みほぐしていく。
一子の乳房はここのところ日々成長している。真っ白でふわふわでそれでいてまだ芯のある若さいっぱいのオッパイだ。
オイルを垂らしているので、ぬるんぬるん、田中の手の中ですべっては変形する。
もう何回も施術をしているので、田中もエステっぽい回り道をせず、一子の性感帯を直接攻撃してくる。乳首を指で弾き、勃起したところで摘んで引っ張る。
「んっ……はあ」
中年男にオッパイをもてあそばれて目をとろんとさせる一子。
「じゃあ、お乳、吸いますよ」
「はい……いっぱい吸ってください」
下着メーカーの広報が見たら直ちにCMに抜擢するだろう特上の美乳を中年男の赤黒い舌がねぶるに任せる。
「あんっ、あっ、はっ……」
一子はエステではオッパイを揉まれたり吸われたりするのが当たり前だと思いこんでいる。なにしろ、そういうエステしか知らないからだ。
実際にここに通うようになって胸も大きくなり、形も今まで以上によくなった。肌もすべすべになり、気になる贅肉も落ちた。エステの効果が出ているのだから疑う必要もない。
ぷばっ、ぷばっと音をたてながら佐藤が一子の乳房を吸引している。これは、マウスバキューム方式であると一子は説明を受けている。口で吸うことで乳房の血行をよくし、老廃物を流し去るという。
続いて佐藤の舌がチロチロ乳首をなめまわす。ピンクの乳首がピンピンに立つまでそれは繰り返される。これは乳首をマッサージすることで乳腺の発達を促す、ニプルケアという施術で一子はコレをされるとうっとりしてしまう。母性本能が強い一子はお乳を吸われると幸福感を感じてしまうのだ。
「じゃあ、今日はダブルニプルケアですよ」
山本が加わり、同時に左右の乳房がマッサージされる。
田中が左、山本が右だ。
田中は乳首を甘い噛み。山本は柔らかいおっぱいを大きな手で握りしめるように揉みながら頂点に吸いつく。
「あっ、あっ、おっぱい、気持ち、いいです!」
このニプルケアだけで、一子はイッてしまうことさえある。
「お客さんのオッパイはすばらしいですな」
「まったくです。このピンクの乳首だけでもそうとうな価値ですよ」
言いつつ、好き放題に乳首を吸い上げ、転がし、つまみ、こねくる。
「はあ、はあ、んはっ!」
そんな一子の下半身は佐藤が担当している。足裏からふくらはぎ、ふとももを揉みほぐし、脚の付け根に達する。ヴィーナスの丘に萌える若草をかきまぜ、くいっと大陰唇を左右に広げる。
ピンクよりも透明度の高い一子の性器が姿を現す。
「いつもながら、きれいなオマンコですねえ」
ローションをつけた指で小陰唇をなぞりつつ佐藤がほめる。実際、一子のソコには色素の沈着がまるで見られない。
小振りな小陰唇を開いて、膣口を確認すと、おもむろに指を差し入れていく。
「あああああっ! お指が、おまんこに……っ」
エステ通いで淫語も覚えてしまったようだ。
「おまんこ、とっても、気持ちいいですぅ」
これは一子にとっては、肩を揉んでもらって気持ちいい、というのと変わりない感覚なのだ。それがエッチなことだという自覚がないのだからしかたがない。
「どうですか? ここは、ちゃんと守ってらっしゃいますか?」
「あ……はい……ゆ、遊一さんがソコにおちんちんを入れたがるんですが……はぁっ……入れさせてはいないです」
男たちに乳を吸われ、股間をいじくられながらも無邪気さを失わない一子である。
「それはよかった。お客様がその方を大事に思っているなら、ココに指やチンポを入れさせてはいけません」
佐藤は指を入れてかき混ぜる。
「はんっ! うぅうう……どうしてなんですか」
「ココに指やチンポを入れてもいいのは、私たちのような資格を持ったエステティシャンだけです」
「そ……そうなんで……うぁっ!」
びくんっ、と背筋をそらせ、佐藤の指を締めつける。一子の膣内はどんどん敏感になっている。
「彼氏とは、キスをしているんでしょう?」
田中が囁きかける。一子の耳たぶを舐める。一子は耳も敏感だ。
「あ……はい……してます……」
一子は遊一と今では恋人関係だ。一子にとってキスは特別なもので、遊一にしか許さない。
「そう、恋人同士はキスをするものです。お幸せそうで何よりですよ」
山本は一子の乳首を指で弾きながら、脇の下を舐める。
「でも、オッパイやオマンコを触らせてはいけませんよ、それはエステシシャンの領域ですから」
「あっ……はい、わかりました……ぁっ」
唇以外のあらゆる場所にペッティングをされつつ、一子はうなずく。
「今日はムダ毛の処理もしましょうね」
佐藤が取り出したのはカミソリだ。一子の陰毛をローションでぬらすと、じょり、じょり剃り始める。エステサロンなのだから、もっといい器具がありそうなものだが、佐藤は陰毛処理の名人なのだ。たちまち一子のアソコが数年分幼くなる。まるで小学生のアソコのようだ。
「クリちゃんもよく見えるようになりましたね」
包皮をずらして、一子のクリトリスを露出させる。すでの勃起してしまっている陰核突起を佐藤の指がさらに刺激する。
「お客様、こちらはいかがですか?」
「あんあんあああああっ! クリちゃん、イイですぅ!」
絶叫する一子。性感マッサージによって、そこの感度は危険なほど高められていた。
すでに佐藤は一子の性感帯を熟知していて、三十秒もあればイかせることができる。
クリをつまんでバイブを当てる。
「あひっ! そっ、それっ!」
声が裏返る。
佐藤は指を一子の中で激しく往復させる。
愛液が激しく分泌、くちゅくちゅくちゅ、音をたててあふれ出す。
「ああああっ! それ、イクっ! それイッちゃいます! あーッ!」
まずは一回目のアクメ。
「っく……っいいいいい!」
一子は、これもエステだと思っている。フィンガーエステというコースだと思っているのだ。
その間も山本と田中が一子のオッパイを揉みほぐし、乳首を吸い立てている。豊胸コース、ニプル(乳首)エステも続いているのだ。
一子の性感帯は度重なるエステ体験で発達させられていた。
もう乳首は充血しきってピンピンになり、男たちの舌と指でさらに引き延ばされていた。今も山本が甘噛みし、田中は指でひねってはそれを解放することで一子に快感の悲鳴をあげさせつづけていた。もう普通の十五歳の少女ではありえないくらいに敏感なオッパイになっている。
佐藤はそんな一子のクリトリスを執拗に責め続けている。一度めの絶頂はあくまでも試運転。充血した肉芽を指でこすり、一子の膣穴から愛液がわき出すのを吸い立てる。一子の女性器はもはや佐藤の思うがままだ。
「ああああっ! ふゅわあああああ! いくっ! また、いっちゃいますう!」
一子が続けざまに達する。
膣孔が収縮し、透明な愛液を涙のようにこぼす。佐藤は、一子の穴を広げて鑑賞する。ピンクの粘膜が収縮し、秘穴を隠している。これまでのエステの施術によって、おいしく育った佐藤たちの作品だ。
リゾートホテルのエステルームで一子の処女を奪った佐藤たちは、その後も一子の性感開発を続けていた。スポンサーの日柳も、たまに参加する。だが、日柳は一子にキスをしたがるので、危険だった。キスをされると、よほどトロトロにしておかない限り、一子の乙女回路が作動し、泣き出してしまう。最初の一度だけは成功したものの、それ以降は一子へのキスは封印されていた。もっとも、キス以外ならどんなことでも一子はさせてくれるので、問題はない。
「まあ、日柳のオッサンは、よほど体調がよくないと勃たないからな」
だいたい週に一回通ってくる一子に対し、日柳が参加できるのは月に一度か二度。それ以外の時は佐藤たちが一子を好きにできる。もっとも、そのシーンはすべて映像で記録される。一子が嬲られているシーンを日柳は楽しんでいるらしい。今もこの部屋に仕込まれた無数の監視カメラでクライアントは喜悦の表情を浮かべているはずだ。