うたかたの天使たちXI

あきかぜ  クロッシング・ロード
秋風の十字路

−苑子編(3)−

 

 おにいちゃんはどこからか鏡を持ってきて、苑子の前におきました。

 スタンドがついていて、鏡の角度がかえられるようになっています。

「じゃあ、あしをひらけ」

 おにいちゃんがにこにこしながらいいました。

 苑子は訳がわからなくてききかえします。

「じゃ、じゃあって、どうするの?」

「わかんないか? おまえ、あんまりじぶんで見たことないだろ? それじゃあ、描写がうまくならないから、見ながら書いてみろ」

 いいつつ、苑子の足のあいだをゆびさします。そこって、まさか……?

 うそぉ? そんなとこ、鏡にうつすの?

 いやだ、といってもおにいちゃんはきいてくれません。

 むきになって、鏡をおしつけてきます。唇をつきだして、子供みたい。

「わ、わかったよ、おにいちゃん。するから……」

 しようがなくそういうと、おにいちゃんはニコニコしました。すっごくうれしそう。つられて苑子も笑ってしまいます。おにいちゃんには勝てないなあ……

 する、とは言ったものの、どうすればいいのかよくわかりません。

「ほら、おしりをたたみにつけて、ひざをたてて左右にひらきな」

 おにいちゃんが苑子にポーズをつけます。あ、そんなに大きくひらかないで。

「どうだ? よく見えるだろ?」

 おにいちゃんは、苑子の足のあいだにおいた鏡の角度をかえながら、ひひひ、と笑いました。その笑いかたはあんまりしないほうがいいよ、おにいちゃん。なんだかあぶない人みたい。

 それにしても、ふしぎです。

 白いふともも――じぶんでも、ちょっとたぷたぷしてると思う――のあいだにたてすじが一本走っています。その両側は、ふわっとした肉のもりあがりになっていて、ほんと、土手みたいになってます。

 一本すじの上の部分には、ちょっとだけ、こいめのうぶげが生えてて、はずかしい。

 あっ。

 おにいちゃんが左右にわけた。

 みえた。

 うそ。

 やだよお。

 きもちわるい。

 へんなかたち。

 ぷりっとふくらんだところがあって、そこから足が二本伸びてる。その足は、あ、穴の左右のとびらにくっついてるみたい。このふくらんだところが、そうか、クリトリスなんだ。

 穴のあたりはルビーみたいに赤くて、ちょっとこわいくらい。ねんまくがてらてらひかってる。

 しってる。

 エッチなおつゆ。

 おにいちゃんにさわられたり、キスされたりすると、そこがぬれる。

 いまもぬれてる。

 

 あ、ひどい。

 おにいちゃん、そんなに広げたらだめだよ。

 くぱって、音をたてるように、広がって、奥まで、みえちゃう。

 苑子の、穴のなか。

 ぬるぬるになって、ひくひくうごいてる感じ。

 クリがびっくりするくらい大きくなってる。おにいちゃんがおもしろがって、指でつまんでは、はなす。

 ぴりぴりするよお、それ。

 

 穴がシュウシュクして、なにかとんだ。

「お、苑子、潮を吹いたぞ?」

 なに、それ? わかんないよ。ただ、きもちよくて。

 ああ、おにいちゃん、がまんできなくなったの?

 おちんちんをにぎって、苑子の、そこに。

 おまんこに、入ってくる。

 い、痛いよ。おにいちゃん、大きすぎる。

 それでも、上から体重をかけるようにおしこんでくる。

 めりめりいいながら、おにいちゃんのおちんちんが押し入ってくる。

 いたいけど、おにいちゃんにむりやりされるのって、すき。

 だって、おにいちゃんでからだがいっぱいになるから。

 それのことしか考えられなくなる。

 あたまのなかが。おなかも。いっぱいになって。

 おにいちゃんだけ。

 わたしと。

 おにいちゃんだけ。

 奥まで。苑子のいちばん奥まで。おへそのきっと真下のあたりまで、おにいちゃんが入ってきて、

 かたくなった、

 あつい、

 とがった、

 どこかやわらかい、

 でこぼこの、

 ねばるように、

 はじくように、

 うごいて、

 こすりつけて、

 やだ、急すぎる

 たかまって

 息ができないくらいに、

 上から

 おっぱいを

 わしづかみ

 こわれる

 こわれちゃうよ

 すこしでいいからやすませて

 でも

 おにいちゃんは無言で

 出たり

 入ったり

 棒が

 赤く腫れて

 わたしのお股から、

 ぬるぬるがあふれて

 でたりはいったりが、早くなる。

 おにいちゃんのいきづかいと、あせが、したたりおちて、ぜいぜいと、もう――

 すごい。

 色が、ふえる

 世界が、色でいっぱい。

 においも、色だ。

 おとも、色。

 おにいちゃんのにおい、息、あせ、おちんちんがこすって、

 おなかのなか、こすって、

 ぜんぶ、おにいちゃんでぬりつぶして。

 しろ。

 おなかのなかに

 そのこのなかでせいえきをどうかだしてくださいおねがいします

 おにいちゃんのしろでいっぱいにして

 おねがい

 いっしょにいて。

 いまも

 あしたも

 これからずっと

 はなさないで。

 あー

 しろくなる、ぜんぶしろく

 

 も

 

 かけな

 

 

 おれは苑子のなかに盛大にぶちまけた。

 睾丸が気泡につつまれたように気持ちいい。射精中枢が狂ったように引き金を引き続け、命のもとを苑子の子宮に浴びせかける。

 すげえ、きもちよすぎ。

 苑子の身体は柔らかくてもちもちしてて、触れてるだけでもいい感じだ。まして、ピンク色のおまんこの中の具合は、ふっくらしてて、それでいて狭くて、しかもぬるぬる。最近は夢中で締めてくるんだが、それが、絶妙な場所で絞られる。

 だから、ついつい中で出してしまう。

 気をつけようと誓ったばかりなのにこれだ。

 だが、やってる最中は、できてもいいや、とおもっちまうんだよなあ。

 むろん、いまでも。

 後悔はしていない。

 反省はするべきだけど。

 

 苑子は半ば意識を失っている。くちゃくちゃになったノートをだきしめたままだ。うむうむ感心。ぎりぎりまで書き続けていたようだな。なかなかの根性だ。

 おれは苑子の胸元からノートを取り上げると、未来の大作家の眠りを守るために、メガネをそっと外してやった。

 

 

 ごじつだん

 おどろいたことに、苑子の原稿が売れてしまった。

 よし。苑子にはエロ作家としての修行をつませること決定。

 次はどんなシチュエーションで「写生」させてやろーかな、ぎしし。

 

「真冬のファンタジスタ」に つづく