うたかたの天使たち 外伝
美耶子のドキドキ ドラマ撮影!


 このお話は、「うたかたの天使たち 秋風のクロッシングロード」の美耶子ルートで、美耶子のドラマデビューが決まった後のお話です。
 子役・宇多方美耶子の誕生をどうか見守ってください……!(強NTR路線なので、属性のない方は引き返してくださいね)


    1.撮影初日


美耶子いきまーす!

「忘れ物はない? だいじょうぶ?」
「だいじょうぶだって! もー、一子おねーちゃんってば心配性なんだから!」
 靴の爪先をこんこんと打ちつけながら、美耶子が明るく笑う。
 今日は、美耶子の出演するドラマの撮影初日だ。
 窪塚プロデューサーが仕立てた迎えの車が外でまっている。
「じゃあ、いくよ、遊一! 荷物ちゃんと持ってよー」
「はいはい」
 付き人に指名されたおれはため息をつきながら、大きなバッグを持ち上げた。ぐお、重い。異常だぞ、これ!
 バッグをあけてみる。着替えや鏡やメイクの道具のほかに、ジュース、おかし、ドライヤー、ゲーム機に漫画本、さらにぬいぐるみにまくらまで――
「なんだよ、この荷物の量は!」
「だって、泊まり込みの撮影なんだもん、しかたないでしょ!」
「着替えはともかく、まくらやぬいぐるみなんていらねーだろ!」
「あたし、まくらが変わると寝られないんだもん! それにくまちゃんはいるの!」
「……ゲームやマンガもか?」
「いるでしょ、普通」
 真顔で言い返された。
「そうそう美耶子、これも持っていかないと」
 にこにこ笑いながら、一子ちゃんが教科書とノートを差し出す。
「撮影だからといって、宿題しないとだめよ?」
「あうー、それも持っていくのぉ?」
 美耶子が頭をかかえる。優先順位が逆だろ!
「よろしくお願いしますね、遊一さん」
 一子ちゃんに頼まれたらしょうがない。おれはずっしりボリュームのある教科書&ノートをかばんにつめこんだ。
 うーん、人を殺せそうな堅さと重さになったな。
「じゃあ、行くぞ、美耶子」
「……おっけー」
 ちょっとテンションさがりぎみで美耶子が答える。だが、玄関を一歩踏み出したら、そのテンションもすぐに回復した。スキップ。
「がんばんなよー」
 二階の窓から気恵くんが手を振る。
「美耶子ちゃん、おみやげ話、楽しみにしてるねー」
「……てる」
 庭には苑子と珠子がいて、美耶子にエールを送る。
「うんっ! まかしといてー!」
 ネコの目のようにつりあがった瞳をきらきらさせて、10歳の少女はガッツポーズする。
 明るい未来がこれから広がっていることを微塵も疑っていない、それはまさに無敵の笑顔だった。
 きっかけは、窪塚プロデューサーにスカウトされたことだった。
 テレビ業界随一のヒットメーカー窪塚プロデューサーは、美耶子の同級生・窪塚ジュンくんの父親だ。業界の常識をことごとくぶち壊し、テレビの革命児と呼ばれ ているらしい。
 美耶子が出演することになった番組は、今期の目玉になるという。おれでも知っている有名タレントが多数出演している。
「だいすき! おにいちゃん」というタイトルで、主人公がいろいろな女の子に慕われるラブコメディらしい。
 たしかオーディションのときは「マリアさまゴーホーム」というタイトルだったが、窪塚プロデューサーが、美耶子の出番を増やすために設定やストーリーを大幅 に変更して、タイトルそのものも変わってしまったらしい。
 主演は、亀垣起也――バニーズ事務所の看板スターで、歌に芝居に引っ張りだこの売れっ子だ。
 美耶子はその亀垣演じる香取悠一の妹・都役だ。名前の読みが「みやこ」なのは、むろん、窪塚プロデューサーの意向だ。「美耶子くんが一番演じやすいように」 ということで、強引に決めてしまったのだ。
 共演者には、昨年の映画賞を総なめにした長篠ますみや、CMの女王と呼ばれる上枝アヤなどのそうそうたる顔ぶれがそろっている。これならば、まちがいなく高 視聴率だろうな。
 ただ、放送開始が目前に迫っているのに、美耶子のパートの撮影だけが進んでいなかった。小学生である美耶子はもちろん平日は学校だし、夜の撮影は家長である 一子ちゃんが断固として拒んだ。「子供を夜働かせるなんてできません」と。
 それで、土日を使って、一気に撮り上げてしまうことになったのだ。それも、スタジオに泊まり込みという強行スケジュールだ。「泊まり込み」というところに一 子ちゃんはやはり難色を示したが、窪塚プロデューサー直々の懇願と、美耶子自身の希望、そしておれが保護者としてつきそうという条件でようやく首をたてに振っ たのだ。


「やあ、美耶子くん、ようやくきたね」
「おじさま!」
 スタジオで待ちかまえていた窪塚プロデューサーは美耶子をみると両手を広げた。
 その胸に飛び込んでいく美耶子。おーおー、なついたもんだな。
 窪塚プロデューサーは美耶子を抱きしめると立ち上がり、ぐるっと回った。スカートがめくれて、白パンツがちらりだ。だが、美耶子はパンチラなんて気にしな い。
「待ちかねていたよ、ようやく、美耶子くんの本気の演技が見られるんだね」
「うーん、うまくできるかわからないけど、がんばります」
 だっこされたままで、美耶子はまじめに答える。
 まるで親にしがみついている子猿だな……
「頼んだよ。きみの演技にこの作品の命運がかかっているといってもいい」
「えーなんかプレッシャー……」
 言いつつ舌を出す。緊張感のかけらもない美耶子だが、実際はかなりテンパっていることをおれは知っている。昨日も遅くまで台本を読みふけっていた。
 この二日の撮影での美耶子のシーンは、撮影され次第、完成したほかのシーンの間にさしこまれる。日曜の夜のオンエア時間までほとんど間がないため、最終的に はほとんどリアルタイムに放送されるらしい。やりなおしはきかないのだ。
「じゃあ、早速頼むよ」
「はいっ!」
 シャワーを浴び、メイクルームに入る。そこで衣装合わせとメイクをするのだ。むろん男子禁制だからおれは入れない。
 しかたがないから、隣の部屋――美耶子の控え室だ――で待つことにする。そこにいれば、隣のメイクルームからの音が聞こえてくる。
「――すごっくカワイイよぉぉぉ」
 奇妙に甲高い声が聞こえてくる。そういやちらっと見かけたっけ。メイク・衣装担当は小太りのオカマちゃんだった。わりと有名なのか、どっかで見たような顔 だった。
「髪型おもいきって変えてみるぅ? ほらー、ここをボリュームアップさせて、ここをくくったら、うわー、超カワイイぃぃぃ!」
「えー、そうですかー?」
 美耶子のはしゃぎ声だ。女の子はどうしてあんなに髪をいじったり化粧したりするのが好きなのかね。
 なんか眠くなってきたぜ。
「じゃあ、髪はこんな感じでぇ、次は衣装ね」
 おれはうとうとしつつ、メイク担当者の声を聞いていた。
「ぜんぶ脱いじゃってくれるぅ?」
「ええっ、パンツもですかぁ?」
「そうよぉ、下着からぜーんっぶ、役柄になりきらないとね?」
「はあ……」
 ややあって、衣擦れの音が聞こえてくる。
 脱いでるらしいな。
「えと……あの……後ろ向いててくれませんか」
「あっらー、どうしたの、この子ったら恥ずかしがってるの? 女同士じゃなーい」
「えあ……でも……メイクさんって男のひとじゃ……」
「ばっかねー、あたしの心は女なの! それに、下着からちゃんとフィットさせなきゃいけないんだから、見ないわけにはいかないでしょ?」
「は……はあ」
 とまどっているような美耶子。そりゃあ、外見はひげ面サングラスのオッサンだからなあ。ただ、一般的な視点からすると美耶子は10歳の児童にすぎない。世が 世なら、男湯に入ってきても不思議はないくらいの年齢だ。
「……ぅー」
 ちいさくうなりながら、美耶子が最後の一枚を――とったらしい。
「はーい、スッポンポンになったわねー、カワイイわよー、はいはい、手で隠さないの」
「で、でも……顔、近い」
「だって、パンツはかせてあげるんだから、しょうがないでしょー、さー、あんよあげて」
「じ……自分ではけます」
「だめー、この下着は特別製なんだから、プロがはかせないと、きれいにラインが出ないのー」
「えええ……」
「はーい、右足ー、次、左足ー……ふーん、美耶子ちゃんのアソコ、真っ白でツルツルなのねぇ……」
「だっ、だから見ないでください!」
「ばっかねー、あたしは女だって言ったでしょ? オチンチンだったらコーフンしちゃうけど……うふっ」
「はあああ……」
 ため息だ。深いな。
「はいっ、後ろむいて――おしりのラインを整えるから――あらまー、おしりキレイねえ――子供って、全然おしりたれないのよね、すごいわねー」
 ぺちん。
「ひゃんっ!」
 おしりをなでられたらしく、美耶子の悲鳴があがる。
 おいおい……オカマちゃん、ほんとうに大丈夫か? 両刀とかじゃないだろうな?
 ややあって、美耶子の声が聞こえてくる。
「……あの……この下着、マジですか?」
 おそるおそるといった様子だ。
「マジよ。いまどきの小学生タレント、これくらい当たり前よ?」
 断言するオカマスタイリスト。
「それにね、やぼったいパンツのラインなんてテレビで見せられると思う?」
「……うーん」
 なんとなく言いくるめられた感がただようが、美耶子はそれ以上の反論をあきらめたようだ。
「さ……あんたの場合、ブラなんていらないから、こうやって……ほうら、できたわ」
 さすがはプロの手さばきか、あっという間に衣装を着せ終わったようだ。
 それからメイクへと移行したようだ。
 そちらも手早く完成に至る。
「どう、感想は?」
「――あたしじゃないみたい」
 答える美耶子の声ははずんでいる。ふーん。気に入ったようだな。
「ゆういちに見せてくる!」
 元気な声がして、ドタドタと音がする。おっと、耳を澄ませていたことがバレたらアレだから、畳に寝っ転がって寝たふりをする。
「あっ――寝てる! こら、バカゆういち、起きろ!」
 馬乗りになってくる。美耶子の高い体温を感じる。薄目をあけた。
「どう? これどう?」
 おれの胸にまたがった美耶子が顔を覗き込んでくる。
 驚いたな。髪型が違う。いわゆるツインテールだ。美耶子のやつ、髪は長いけど猫っ毛で、勝手にウェーブがかかってしまうんだが、さすがはプロ、サラサラヘア に調整済みだ。衣装も、紺と白のしましまニーソックスに、黒のミニスカート、ブラウスも黒をベースに白のフリルをいっぱいつけた――なに、ゴスロリって の?――っぽい格好だ。
 うーん、馬子にも衣装ってやつだな。
「あとね、下着すごいんだよ? 見る?」

美耶子のパンツ見てー
 言いつつ、もうスカートをたくしあげている。もともと短いから見えていたといえば見えていたんだが、そんなふうにするとへそまで丸見えですよ。
 しかも、そのパンツは――いわゆるヒモパン――横っちょがヒモになっているのとはわけがちがって、全体がヒモなのであった。つか、ヒモにみまがうほど布地の 面積が少ないというわけだ。
 そのため、ワレメ部分がかろうじて隠れているだけ――美耶子がおしりをもじもじさせるだけで、ワレメに布が食い込んで……おおおっ!
「あはっ、ゆういち、チンチン起ってる」
 ズボンの上からギュッとつかまれる。はおっ――
「あたしのパンツ見て興奮したんだ? あいかわらず変態さん」
 後ろ手におれの股間をこすりながら、美耶子が八重歯を見せる。
「もうすぐ出番だから、エッチはダメだよぉ?」
 言いつつ、片手で自分のパンツを――ヒモみたいな布地をくいっとずらして、ワレメを露出させる。
 美耶子の――小学4年生の――ピッチリ密着ワレメ。クリトリスがピコンと顔をのぞかせている。
「エッチはダメだけど……オナニーなら許したげる」
 おれのズボンのジッパーをおろす――引き出される。もう大きくなってる。
「ほら、こすったら?」
 おれの上でM字に脚を広げて美耶子が笑う。
「いいもの見せたげる」
 細い指で左右から――みにゅっ――ああ、肉が弾けて、中が――
 おれは自分で自分をしごきたてていた。
 美耶子のアソコを見ながら――そして美耶子に見られながら――ペニスを刺激する。
「み……美耶子……おまんこ舐めさせて」
 おれは懇願した。見るだけなんて切なすぎる。味わいたい。おれの美耶子の恥ずかしい部分を。
「いいけど――スカート汚さないでよ」
 美耶子が腰をずらし、おれの顔の上に移動する。肉の亀裂が射程距離に近づくと、たまらずおれはむしゃぶりついた。
「はぅっ……あ……っ……となり……スタイリストさん……いるんだから……っ」
 おれの激しい舌の動きに前かがみになりつつ、美耶子がうめく。
「おまえが声をこらえればいいだけだろ?」
 言いつつ、クリトリスの包皮をおしあげ、肉芽を直接しゃぶる。小学生にしては発達したクリトリス――感度もばつぐんだ。
「かはっ……そ……それ……だめぇ……っ」
 苦しそうに美耶子がうめく。
「濡れてきた……とろとろだな」
 チンチンをこするのは左手にまかせ、右手で美耶子のおしりの穴の周辺をかるくなでて、性器を広げる。赤い肉の穴がひくついて、奥から透明な愛液をしたたらせ ている。むろん、衣装を汚さないため、すべて舐め取る。
「き……きもちいいよぉ……ゆういち……」
 まったくエロエロ小学生だな。ちょっといじっただけでこんなにしやがって。
 つか、立場逆転?
 おれは体勢をいれかえ、美耶子の足首を掴んで、がっと広げさせる。おお、絶景だな。あかちゃんのおしめを替えるような格好だ。
 美耶子はうるんだ目でおれを見上げている。顔が真っ赤に上気している。
「……どうしてもっていうんなら……してもいいよ?」
 つか、してほしいんだろうが。にしても、いつもと髪型が違うからなんか新鮮だな。
 おれのほうもこのままじゃあおさまりがつかない。猛ったモノを美耶子の中で暴れさせ、思いっきり吐き出さないと――
「きて……ゆういち……」
 先走りの雫で濡れた亀頭をおれは美耶子の入口にあてがった。吸い付くような美耶子の粘膜。
「はぁん……っ」
 美耶子があまい声を出しておれにしがみついてきたのと、控え室のドアがノックされたのは同時だった。
「美耶子くん――出番だよ」
 窪塚プロデューサーの声だ。
「はっ――はいいいいっ!」
 美耶子はおれの腹を下から蹴り上げると、1秒で下着を直し、さらに1秒で姿勢を修正した。
 ドアがあいて、窪塚プロデューサーが顔をのぞかせたときには、美耶子は完璧な正座の姿勢で、おれは頭から壁にぶつかっていた。むろん、下半身まるだしだ。
 だが――
「おお、準備万端だね、美耶子くん。すごく可愛いよ――」
 みにくいものは見えない、という変わった視神経を持つ窪塚プロデューサーには、いまのおれは当然不可視の存在なのだった。


      2.撮影開始


 美耶子の撮影が始まった。放映直前だから、効率は無視して、シナリオの頭から撮っていくスタイルだ。さいわい、第一話は全シーンセット撮影だから問題ない。
「シーン1、階段上から駆け下りてくる」
 ディレクターはまだ若い男で必要以外の発言がほとんどない寡黙なタイプだった。かわりに、その助手がやたらとでしゃばって、現場を仕切ろうとしていた。
「元気よくおりてくんのよぉ、わかってるでしょおねえ」
 小太りチョビひげのサングラス男だ。なんか見たことあるな。
「ただでさえ押しててオンエアが明日に迫ってるんだから、わかってるわよねえ」
「はーい」
 階段の上で手をあげる美耶子。
「ったく、なんであたしがこんな下働きを……」
 ブツブツ呟いている。
「スタート」
 ディレクターが無感情に合図をする。
「おにいちゃーん」
 美耶子が台本通り声をあげて階段をかけおりてくる。
 どたどたどた、子供まるだしの足音だ。
 白い膝小僧と、腿がちらちら見える。
 カメラが下からねらっている。
 あれだとパンツみえちまうんじゃ?
 というよりも、積極的にローアングルから撮影しようとしているようだ。
「健康的でいいねぇ」
 窪塚プロデューサーが満足そうにうなずく。
「これは視聴率とれるよ」
 そういうものかよ……
「次のシーン」
 ディレクターが言う。
「兄とのカラミ」
 亀垣起也は生で見ると目つきの悪いガキでしかなかった。やたらとイライラしていて、余裕がない。
「ったく……おれがなんで新人のガキの相手なんかしなくちゃなんねえんだよ」
 未成年のくせいにタバコをくゆらせて、そんなことをあからさまに言っている。
 かと思うと、窪塚プロデューサーが姿を見せると、吸っていたタバコをマネージャーに押しつけ、満面の笑みを浮かべて頭をぺこぺこ下げはじめる。
「彼女が宇多方美耶子くんだ。ぼくのお気に入りでね。亀垣くんも、よろしく頼むよ」
 窪塚プロデューサーが美耶子を紹介する。美耶子はテレビでよく見ているアイドルスターを目前に見て、舞い上がっている。
「よっ……よろしくおねっおねっ」
 ちゃんとあいさつさえできない。
 まあ、亀垣は小学生女子児童にとってはリアル王子様だしな。
「よろしく美耶子ちゃん、かわいいね」
 亀垣は、少女ファンの扱いには慣れたもので、目線を美耶子に合わせてかがむと、握手、そしてサービスのつもりか、ハグまでした。
「ひゃっ、ひゃあー!」
 幸福感のあまり、奇声をあげる美耶子。
「亀垣くん、美耶子くんをよろしく頼むよ。妹として、しっかり仕込んでくれたまえよ」
 窪塚プロデューサーの父親めいた訓辞に、亀垣はさわやかにほほえんだ。
「もちろんです、窪塚さん。きっちり仕込んであげますとも」
 奇妙なアイコンタクトだな。
 台本では、利かん気の妹、都が、兄・悠一の寝起きを襲って、むりやり起こす、というものだ。
 亀垣がベッドに入り、寝たふりをする。
「スタート」
 ディレクターの静かな声。そして、眼鏡のADのカチンコ。
 美耶子が元気よくドアを開けて入ってくる。
「ゆういちぃ、朝だよーっ!」
 おお。なかなかリアルだな。おれもよく美耶子に叩き起こされる。休みの日とか特に。
「はやくぅー、お、きてぇー」
 布団をかぶった亀垣をゆする。
 おれの時は顔とか蹴るよな、美耶子。
「うう……あと五分」
 ベタな台詞を吐く亀垣。
「もお、ゆういちったらぁ」
 美耶子が亀垣の上にまたがり、乱暴に起こしにかかる。
 カメラが美耶子に寄る。
 懸命になって亀垣を起こそうとする美耶子のスカートは当然のごとくめくれあがっている。だよなあ、大股ひろげて馬乗り状態だしなあ。
 だが、そこばかりアップで追う必要はあるんかい。
 モニターには、美耶子の股間しか映っていない。しかも、少ない布地のパンツだから、ワレメに微妙に食い込んでいる。
 おれの記憶だと、こういう感じの映像を売りにしていたDVDが問題になったような――
「わぁったよ、起きるって!」
 亀垣が起き直る。美耶子がその反動で後方にのけぞり、そのまま転ぶ。
「ゆういちったら、急に起きないでよぉ」
 予定通りの動きなのだが、転んだ美耶子は当然のごとく、脚を天井に向けた状態で、完全に下着丸出しだ。というか、へそまで見えている。
 そのままで、という指示をディレクターが出し、美耶子は姿勢を維持する。
 ベッドに横たわり、しどけなく脚を広げた状態を、たっぷりカメラがなめあげる。
 今時の子供らしい、細くて長い脚に、紺のニーソックス。そして、白いパンツ――それもヒモパン。カメラも、スタッフも、もちろん共演の亀垣も、その下着の股 間部分を凝視している。なんか変な雰囲気だな。
「カット」
 ディレクターの声。そして、窪塚の拍手。どうやら、撮影そのものは順調らしい――

こんなとこまで撮るの?

 一日目の撮影はその後、問題なく進んだ。ほとんどは他愛のない食事や、家事のシーンばかりだった。美耶子の緊張も解け、表情にも自然さが出てきた。
 昼食は仕出し弁当だったが、窪塚組のロケ弁はいい、という評判通り、料亭級の味とボリュームだった。ただ、美耶子は午後からの撮影の打ち合わせで忙しく、食 事もディレクターや窪塚と打ち合わせながら取っていた。
 おれは楽屋で一人寂しく食っていたのだが――
「ここ、いいですかー?」
「おじゃましまーす、とか」
 訪れてきたのは、長篠ますみと上枝アヤだった。なんでこんなスターたちが?
 手に手に弁当を持っている。
「あのー、ここでごはん食べさせてもらっていいですかー?」
「私たちの楽屋、マネージャーとかタバコ吸うんで……とか」
 ああ、そういうこと。
 確かに業界の人って喫煙者率が高い気がする。
 それに美耶子の楽屋は、窪塚プロデューサーの計らいで、一人用にしては妙に広いしなあ。
「いいですよ。おれもうすぐ食い終わるし」
「やだー、いっしょに食べましょうよー、美耶子ちゃんのお兄さん」
「そうそう、たくさんの方が楽しいですよ、とか」
 トップアイドルたちのとろけるような笑顔。おおおお、本物だ。
 こんな幸運があっていいものなのか?
 顔ちいせえ、ほっせえ、目がでっけえ。
 おまえら、フィギュアか――とツッコミを入れたくなるような、そんなかわいさ。
 アイドルたちと弁当を自然に食える――ビバ芸能界。
 とか言っているうちに、美耶子の午後の撮影が始まってしまっていたんだが、おれはそれにしばらく気づかなかった。


 昼休みの時間をかなり超過してスタジオにもどってみると、美耶子はバスローブ姿で、メイクさんに髪を乾かしてもらっていた。
 ちょっと機嫌が悪そうで、おれを見ると一言、
「どこ行ってたの、ゆーいち」
「え? メシだけど、撮影がもう始まってるなんて教えてもらわなかったし」
 つか、アイドルたちと楽しく談笑していたなんて言えない。
「そう……じゃあ、いいよ」
 ぶすり、として言う。
「おい、美耶子、いったい何の撮影だったんだ?」
 そのおれの問いに、美耶子はそっぽを向いて答えた。
「お風呂のシーン。亀垣くんに裸、見られちゃった」
 な、なんですとぉ!?
 そんなシーンはありませんでしたよ、台本には!
 美耶子によると、食事しながらの打ち合わせ中、急遽、台本が変更されたらしい。
 妹役・都の、兄へのアタックがどうも弱い、もっとパンチがほしい、と窪塚が言い出したらしい。
「どう、美耶子くん、体当たりの演技をやってみないかい?」
 そう水を向けられたそうだ。美耶子は意味もわからずうなずき、台本は書き換えられた。
「じゃあ、さっそく撮ろう」
 そして入浴のシーン撮影になったのだという。
「恥ずかしかったよ……だって、服を脱ぐシーンからだったんだもん。みんな見てるし」
 スタッフがたくさんいる前で一枚ずつ脱いでいったらしい。
「あたしくらいの歳の子役って、胸とか映しても大丈夫なんだって」
 ぺったんこだからな。
「でも、パンツまで脱ぐのはちょっと……かなりやだった」
 さすがに前からは映されなかったそうだが、おしりは撮られたらしい。
 風呂には亀垣がスタンバイしていたそうで――というか、兄が風呂に入っていくところに妹が強引に入っていくシーンだから当然だが――全部見られてしまったそ うだ。
「でもずるいんだよ、亀垣くんはパンツはいてて。あたしだけ見られて不公平だよね」
 怒っているのはそこかよ。
 シーンはまだまだ続き、美耶子は亀垣を誘惑すべく、いろいろ奮闘したらしい。
「おにいちゃんの背中を流すふりして、おっぱいを押しつけたりとか」
 実際にボディシャンプーを胸につけて、亀垣の背中にこすりつけたそうだ。
「ちょっとかがんで、おしり見せたりとか」
 何度かやり直しをさせられ、けっこう前屈させられたらしい。
「亀垣くん、丸見えだって笑ってた……あと、子供のってぴったりくっついてるんだな……って」
 美耶子め、淡々と語りおって。少し嬉しそうにさえ見えるのはどうしたことだ。
「あとね、あたしの背中も流してもらって、シャンプーしてもらっちゃった」
 修正台本に沿うと、こんな感じだ。
 兄は、妹の積極性にタジタジとなり、求められるがままにその背中を洗ってやる。
 が、妹はそれに満足せず、兄の手を取って、自分の胸に……っておい! やったのか、これ。
「だって台本にそう書いてあるんだもん」
 美耶子が唇をとがらせる。
「あたしが吹き出したり、スタッフさんがミスしたりで、10回くらいリテイクがあってたいへんだったんだから」
 そのたびに乳首をクリクリされたらしい。
「笑うのこらえるので腹筋痛くなっちゃった。女優さんってたいへんすぎだよ……」
 美耶子はため息をつく。
 感じてアンアン言っちゃってたらそれはそれで問題だったろうが……
「で、シャンプーか。そこは変な芝居はなかったんだろーな」
「ないよ。向かい合って座って、シャワーで髪濡らして、泡立てて、シャカシャカって。亀垣くん、たぶん慣れてる。うまかったもん。ゆういちにはできないで しょ、女の子の髪を洗うなんて」
「できるわい……やったことねーけど」
「ぜったできないね」
 断言するな。
 ただ、確かに美耶子の場合、髪も長いし量も多い。かんたんじゃないだろうな、とは思う。
 それに慣れているとういう亀垣め……さては美容師か!?
 ――ちがうな。それだけ女と遊びなれているということなんだろう。
 などとのんきなことを考えていたわけではない。おれは頭にきていた。
「それにしても、保護者のおれに知らせずにヌード撮影をするなんて一体どういうつもりだ。窪塚に文句言ってやる」
 息巻いたおれを制止したのは美耶子だった。
「ぜったいやめてよ、ゆういち! ドラマを成功させるために窪塚のおじさまが考えてしたことなの! それに大事な打ちあわせの場所にいなかったのはゆういち じゃない! オンエアは明日なのよ? みんなずっと徹夜でがんばってるんだから!」
 小学生に説教された。
 ……しかし、美耶子もなかなかの役者根性じゃないか。ガキゆえに裸への抵抗感が薄いということもあるだろうが、見知らぬ男たちの前で裸で芝居をするってのは なみの度胸じゃない。
 まあ、窪塚はプロデューサーとしては超一流だし、キャストも名の知れたスター揃い。
 よもや美耶子の裸を売り物にするゲテモノでもないだろうし、ここは大人になって我慢するか!
 一日目の撮影はそれからも続き、ほかのキャストと美耶子のからみを収録しつつ、深夜におよんだ……
 放送は日曜夜9時――あと21時間。


      3.撮影後――夜


 夜も更けた。ディレクターを含めたスタッフは徹夜で作業を続けるそうだが、役者たちはいったん解散となる。
 おれと美耶子は撮影所の宿泊施設に泊めてもらうことになっていた。明日も朝から撮影を始め、夜のオンエアに間に合わせなければならない。移動の時間も惜し い、というわけだった。
 宿泊施設といっても要は楽屋で、布団を敷きのべただけだった。
 通常なら、周辺のホテルを撮ってもらうところだろうが、撮影所での泊まり込みは窪塚組の恒例らしい。役者も、泊まらせてもらって初めてファミリー入りができ たといって喜ぶらしい。そういう意味では、美耶子は破格の扱いを受けている……そうだ。
 美耶子はおれとの外泊が目当てでこの泊り込み撮影の話を受けたはずなのだが、いざ布団の上でえっちぃことをしようとしたとたん、「ごめん、疲れてるから」と 倦怠期のオットのような断りを入れてきた。
 まあな。いくら宵っ張りの美耶子といえど、極度の緊張が強いられるドラマ撮影に一日没入していたのだから、その疲れは尋常じゃないだろう。
「わかった、眠っているあいだにイタズラしとくから」
「変態」
 それ以上突っ込む元気はなかったようで、美耶子は沈み込むように寝入ってしまった。
 寝顔だけはほんとうに無邪気で愛らしい。
 こいつが女優になってしまったら、この笑顔や声にだまされる男も出てくるんだろうな。ファンなんかもついちゃったりして。
 そんなことありえない、とずっと思っていたが、出演ドラマの放送開始が明日――いやもう今日か――に迫っているのだ。
 平凡な小学生・宇多方美耶子は芸能界デビューを果たすことになる。
 不思議なもんで、そうなると、なんだか悔しいような残念なような気がしてくる。
 おれや家族にだけ見せていた表情やふるまいが、電波を通じて、いろいろなやつらのもとに届く。
 独占したかったのに。
 おれだけのもののはずだったのに。
「そっか……裸とかも、もう撮られちゃったんだな」
 キスシーンや、もしかしたら裸のカラミだって、女優を続けるうちには出てくる話だ。今はもちろん早すぎるが、美耶子が生涯の仕事として女優を選んだのだとし たら、そういう日は必ずくる。
「おれしか知らない美耶子は……いなくなっちまうんだな」
 そう思うと無性に悲しくなってきた。
 女優やタレントとつきあったり結婚したりしている男は、みんなこんなもどかしさを感じているのだろうか。あるいは――自分も同じようなことをしたりして…… いるのだろうか。
 おれは――どうなっていくんだろう。
 と。
 ドアがノックされた。なんだ? こんな時間に。
「よかった、まだ起きてたんですねー」
「静かになっちゃってたから、もうお休みなのかなぁとか」
 訪問者はなんと長篠ますみと上枝アヤだ。しかもパジャマとネグリジェをそれぞれ着ている。
「わたしたち相部屋なんですけど、寝付けなくってー」
「で、ちょっとお話しませんかっていうお誘いとか」
「ごめん、もう美耶子寝ちゃってるから」
 おれは部屋の中にちらっと目をやって、それから二人にわびた。だが。
「美耶子ちゃんは未成年だから飲みには誘いませんよー」
「そんなことしたらあたしたちもタイーホ、とか」
 アイドルたちはにこにこ笑っている。
 まさか、おれが目当て?
 そういや、昼飯のとき、かなり盛り上がった感はあった。たしかにそのとき、酒の話もしたなあ。
 長篠ますみも上枝アヤも20歳になっているので、法的には問題ないのだが、マスコミやファンの目が厳しいから外に飲みに行くことができない、という愚痴が あって、「だったら、うちに飲みにくればどうです?」的な話をしていたのだ。
「逆に、おにいさんを飲みにお誘いしちゃおうと話がまとまりましてー」
「これ断ったら、かなりもったいない感じですよ、とか」
 確かにそうだな。ふだん寝る時間よりはまだずいぶん早いし、せっかくだ。
「じゃあ、行きます」
 長篠ますみと上枝アヤの部屋は、おれと美耶子の部屋とほとんど同じ広さと設備で、畳の上にふとんが敷きのべてあるところまで同じだった。
「あれ? マネージャーさんたちは?」
「いないですよ、タレントをほっておいて、ひどいですよねー」
「……たぶん銀座方面とか」
 ああ、なるほど。飲みに行ったわけか。それに二人のマネージャーは男性だったから、マネージャーと同じ部屋に泊まるというわけにもいかないのだろう。
「じゃー、乾杯ー」
「お近づきのしるし、とか」
「あ、どもども」
 彼女たちが買い込んだらしい缶ビールと酎ハイで、乾杯をした。
 みんな寝巻き姿でふとんの上でひざをくずしている。なんというか、懐かしい、学生時代の雰囲気だ。でも、こんな感動的にかわいい女の子たちのパジャマパー ティに参加できるなんて、おれはきっとこの瞬間、世界でもモースト・ラッキィエスト・パースンだろう。略してMLPだ。
 ますみとアヤは、自分たちの出演作――ここ最近の話題作がズラリとそろっている――についてのよもやま話だとか、今回のスタッフやキャストについての噂話を いろいろ聞かせてくれた。
 たとえば、ディレクターは、つい最近までアシスタントディレクターをしていた無名の男で、窪塚によって大抜擢されたのだという。
「もともとは桃山園さんの下でやってた人らしいんですけど-、桃山園さんがディレクターおろされたから繰り上がったんですってー」
 桃山園……って、あのエロおやじか。
「あの人、セクハラすごくて、女の子にはかなり不評、とか」
「そうそう。演技指導にかこつけて、すぐ身体にさわってくるし」
「息ふきかけてくるとか」
「うわさあるよねー、元ムービングのかすみちゃんとか、小石川涼子ちゃんとかとつきあってるって――マジでーって感じだけど」
 ……まったくだ。
「でも、なんだかんだで現場にいるよねー」
「いろいろやってる……メイクとか、カメラとか」
 そうなのか? 気づかなかったが……あれ? ちょっとフラフラするな。もう酒が回ってきたのか?
「現場仕切ってるよねー、脚本にも関わってるって話だし」
「路線変更とか」
「まあ、思い切ったことしなくちゃ視聴率とれないもんねー」
「わたしたちも、イメチェンとか」
 なんの話だ? よくわからない。頭がボーッとしてきた。
「おにいさんは、美耶子ちゃんと仲いいですよねー」
 ますみがアルコールでちょっと頬を染めつつ水を向けてくる。
 そうかな、会話の八割はケンカだがな。
「ちょっと仲良すぎというか、あやしい感じ……」
 アヤも三本目のビールをあけながら、にじりよってくる。
「もしかして禁断の関係……とか?」
 いや、もともときょうだいじゃないし。
 別に隠すべきことでもなく、ごまかす必要もない。
「じゃ、じゃあ、やっぱりつきあってるんだ?」
「犯罪者とかー、とかー」
 とかーってなんだよ。それだと会話が広がらないだろうが。いいかげん限界悟れよ、その語尾。
 だいたい、下宿先のうちの女の子に付き添うのってそんなにへんか?
「いやーだって、美耶子ちゃんが」
「おにいちゃん好き好き光線だしまくりとか」
 撮影の合間に会話をする際の美耶子の話題がおれのことばかりなんだそうだ。ほめてないらしいが。というか、口を極めてののしってるそうだが。
「エッチでおばかでニブチンでところかまわずおならをしちゃう……」
「でも、美耶子のことをいつも見てくれていて、すべてをさらけだせるヒトなの……とか」
 そんな恥ずかしいことをあいつめぬけぬけと。
「やーまさか小学生の女子と恋バナで盛り上がりゅとは」
 ますみ、ろれつろれつ。
「あたしたちが独り身なのを知っての狼藉くわーとか」
 アヤ、目つきがやばいぞ。
「だから、ちょっと美耶子ちゃんの愛しのおにいちゃんをわけてもらおうかと思って」
「たまにはおとなもいいですよぉ、とか」
 ますみとアヤの肢体があやしくうねり、白い肌の露出面積が増えていく。
 え、ちょっと待って、待って。長篠ますみと上枝アヤだよな、このヒトたち。
 濡れ場はおろか、キスシーンひとつで話題になる清純派だったよね。プリンターとかお菓子のCM出てるひとたちだよね。
 なんでオッパイだしてるノー?
 ああくそ、なにがなんだかわかんないけど、出されたオッパイはモミモミしなければ、バチがあたる。
 長篠ますみのオッパイと上枝アヤのオッパイ、どっちがどっちだとか、もうよくわからないまま、おれはもみたおした。
 いつのまにか、おれはふとんの上に寝っ転がり、ますみとアヤのご奉仕を受けていた。
 禁断のダブルフェラ。おあああ、これはすごい。すごいぞ。
 テレビでおなじみのますみちゃんとアヤちゃんがおれのチンポをペロペロしているのだ。
 全員すっぱだか。うわ、ふたりとも肌きれい。部屋の電気はつけっぱなしだから、すみずみまでよく見える。
 ますみちゃんがおれの顔をまたぐ。おしりの穴まで鑑賞可能。アソコはきれいに手入れされてる。ひろげると、もう本気汁がとろとろと……
 もちろん味わわせてもらう。これがトップアイドルの味か。
 と思っているうちに、アヤちゃんがおれのチンポをアソコに――入れちゃったよ、いいのか?
 たしか、CM好感度トップとかだよな? よくわかんないけど。でも、アソコの感度もすばらしいようで。
「ああっ……! きもちいいっ……!」
 アヤがおれの上で腰をくねらせる。すごいうまいよ。きゅっきゅって、絞ってくるし。
「次はますみにもしてね?」
 おれの顔にまんこをこすりつけながら、長篠ますみさんがおねだりする。もちろん、入れさせていただきますが……アヤさんっ、激しすぎですよっ、出ちゃいます よ……っ!
「中に……っ! いいから、出してっ!」
 そんな……まさに予想外すぎで……上枝アヤに中出しなんかしたら、おとうさんにしかられるんじゃ……っ! ううっ!
「はぅっ……! 出てる……おにいさんの精子……とか」
「つぎ、わたしわたし」
 ますみがアヤを突き飛ばして、おれのペニスをほおばる。
「はやく大きくしてくださいよー」
 ねっちり、じゅっぽり、ますみのフェラテクはすごくて、おれはたちまちリバイバルする。
「ナマ入れは初めてかもー」
 言いつつ、ぬにゅっ、と入れてしまう。くはっ! こりゃまたいい具合だこと!
「な……なんで……こんな……」
 いまさらだとは思いつつ、おれは声をあげる。
「なんでっ……おにいさんって……上げチンなんでしょ? あっあっ……」
 腰を前後に振りたくりながらますみちゃんが言う。
「そうそう、美耶子ちゃんが一気にチャンスをつかんだのも……おにいさんのコレのおかげとか……ちゅば」
 はうっ、アヤちゃん、タマ袋すわないで!
 そんなことしなくったって、あなたたちはスターでしょうが~!?
「芸能界は変化が激しいの。昨日までの人気なんて、なんの保証にもならないの」
「わたしたち全員、賭けているの、このドラマに……とか」
 それと、おれとセックスすることに何の関係が……!?
「んっ、奥に当たって……い、いきそう……」
 ますみちゃんがおれにおおいかぶさって、おしりを上下させる。結合部が楽屋の鏡に映って、丸見え。
 おれも、出ちまいそう……あぅっ!
「いくっ! いくぅ! あああーっ!」
 ますみちゃんがおっぱいぷるんぷるんさせながら達し、おれは彼女の中で二発目の射精をしてしまったのだった。
 それからは、もうくんずほぐれつで……眠りに落ちたのがいつだったのかもよくわからない。
 疲れ果てて折り重なるように寝入ったような気がする。
 気がつくとすでに朝で――ふとんはもう片づけられていた。むろん、ますみもアヤもおらず、荷物もない。がらんどうの楽屋に一人残されていた。
 それにしても、記憶が途中から曖昧模糊としている。なぜあんなにも急に「その気」になってしまったのか。
 美耶子に操をたてるほど殊勝なおれではないが、美耶子の初仕事の現場でほかの女とちちくりあうつもりなんかなかった。
 あやしい雰囲気になったとしても、ギャグでごまかして、逃げることもできたのだ。
 時計を見るともう昼に近い。まいった。これは美耶子のやつ大激怒してるぞ。


       4.撮影2日目

 だが、実際のところ、美耶子に怒られることはなかった。
 美耶子とおれの楽屋ももうきちんと片付けられていて、美耶子の姿もなかったからだ。
 もう撮影が始まっているらしい。
 おれはあわててスタジオに向かった。
 昨日、撮影に使われていたスタジオに行ってみるが、だれもいない。
 それからようやく思い出す。今日の撮影は、夜からは生放送になる。正確には、とりだめた編集済みのシーンを流しつつ、美耶子の登場シーンは一部ライブ放送に なるという、変則的な手法なのだ。それが話題にもなっていた。
 そのためのスタジオは別の場所になる、という話は聞いていた。ただ、その場所がわからない。
 おれは建物内をうろついた。スタッフもキャストも全員、別の場所に移動してしまったらしく、人っ子ひとりいない。
 ようやくつかまえたスタッフも、みんなのいる場所はわからないと言う始末。
「でも、モニタールームは使えるはずですよ。そこからなら撮影風景が見られるかも」
 てなことを言われ、案内されたのは、編集機材がところせましと設置された狭い部屋だった。たしかに、モニターが光っている。美耶子や、出演者たちの映像が流 れている。テーブルには、台本なども置かれているようだ。昨夜、打ち合わせがおこなわれたらしく、大量の吸い殻や空ペットボトル、紙くずなどが散乱している。 部屋の片隅にあるソファには、服が乱雑に脱ぎ捨てられてもいる。仮眠室も兼ねていたのかもしれない。
「じゃ、ぼくはこれで」
 スタッフが足早に立ち去っていく。おいおい、ほっていくなよ……
 やむなく、おれは椅子に腰掛け、モニターに目を移した。
 リハーサル中らしい美耶子が映っている。
 すでに着替えとメイクもすませている。ツインテールに、白のタンクトップ&オレンジのミニスカート、そして素足だ。運動しやすそうな感じ。
 汗をかいているという設定のためか、メイクのオカマが美耶子に霧吹きをかけている。
 胸元にもそれをやるものだから、乳首がうっすら透けている。
 サングラスにちょびひげのメイクは、執拗にその部分に霧をふきかける。
『もちろん、重要よぉ、これで、美耶子ちゃんがすごく必死になっているってことが視聴者に伝わるンだから』
『はい……わかってます』
 美耶子は顔を赤らめながらもうなずいて見せる。
『じゃ、シーン119、始めます』
 ディレクターの声。現場が緊張するのがモニターを通じてもわかる。
 おれは台本を確認する。以前見たものとはずいぶんちがっている。さらに、赤がたくさん入っている。どうやら、昨夜、いろいろ変更が入ったらしい。
 これから撮るシーンは、美耶子が兄に「太った」と言われ、乗馬型エクササイズマシンでダイエットに励むというシーンだ。
 最初はしずしずと動いているエクササイズマシンだが、何かの拍子に目盛りが最強になってしまい、最後には振り落とされる。だが、時間いっぱい粘らなければな らない。
 美耶子はエクササイズマシンにまたがる。機械が動きはじめる。
 前後、左右、マシンのシート部分がローリングする。美耶子も腰を揺すってその動きに合わせる。
 じっとりと汗をかく美耶子。タンクトップに汗ジミがひろがり、ミニスカートから覗く細い太股も汗ばんでいる。
 ここで霧吹きが奏功し、美耶子が玉の汗のしずくを散らすというわけだ。
 動きが激しくなる。美耶子も腰を振ってそれに対応しようとする。
『んっ……あ……はぁ……』
 美耶子が声を弾ませる。

ゆすられるぅうう!


『あっ、あっ、あっ……くんっ』
 おしりを振りたくる。そうしないと振り落とされてしまうのだ。だが、このシーンの時間いっぱい粘らないといけない。もう、スカートを気にしている余裕もな い。Tバックのおしりが露出して、股間がシートと密着したり離れたりするたびに湿った音をたてはじめる。ぴちっ、ぴちゅっ、ぴちっ――
 シートの動きはさらに激しさを増し、下から突き上げるように振動する。落とされまいとする美耶子は、天をあおぎ、必死でこらえている。
『くっ、あっ、ひんっ! ぅっ、うっ、うぅーっ!』
 美耶子の上半身だけを映していたら、まったく別のシーンになってしまいそうだ。
 実際に、あるカメラは美耶子の表情だけを追っている。複数のモニターに、さまざまな角度から映される美耶子の姿が映しだされる。
『あんっ!』
 こらえきれず、落下する。下にはクッションがあるからケガはしない。
『あと10秒がんばればOKだった――もう一度』
 また一からだ。美耶子はふらふらになりながらも乗馬マシンにまたがる。振動にさらされすぎて、美耶子の腰はガクガクだ。それでも、スタートの声とともに、 「大好きなお兄ちゃんのためにダイエットする少女」になりきる―― 
『はあっ、はあっ、はぁ……ううっ』
 時折、ぴくんと腰をはねあげる。Tパックのおしりが汗ばんでいるのがわかる。
『はっ、はっ、はっ……こすれで……なん……か』
 顔を上気させ、美耶子は自分からおしりをシートにこすりつけていく――

 苦難のエクササイズシーンを乗り越え、大好物のアイスキャンデーをほおばるシーンにたどりつく。これは美耶子も嬉しそうだ。
 ピンク色の棒状のアイスをくわえる美耶子。先端の形はキノコをかたどっているのか、少し広がっている。
 舌先で下から上になぞっていく。横くわえにくわえて、かるくかじる。
 先端をくわえ、前髪をかきあげて、目を閉じつつ奥まで呑みこむ――
 アイスキャンデーに入っていた練乳が勢いよく飛び出し、美耶子の顔をベトベトにする。
『やんっ!』
 白い粘液でねとねとになった指をしゃぶり、口の中にたまった練乳を飲み下すと、おかわりとばかり、新たなキャンデーをほおばる。そのキャンデーも練乳を勢い よく飛ばす。
 これがいやらしく見えるおれは心が病んでいる。そうだ。そうにきまっている――


 そして、いよいよ亀垣とのシーン。
 美耶子がモジモジする。昨日裸を見られているからか……?
『じゃあ、きょうだいで口げんかするシーン。アドリブ入ってもいいので』
 ディレクターが指示する。
 カメラがまわりはじめる。
 ソファに並んで座っている亀垣と美耶子。ぴったりとくっついている。
『だいたい、おまえ、生意気なんだよ』
『ゆういちこそ――ゆういちのくせに生意気でしょー』
『おまえなあ、お兄ちゃんにむかって呼び捨てはないだろ?』
『ゆういちお兄ちゃん――なんてにあわなーい!』
 うわ、なんか赤面するな。これって、おれと美耶子のいつもの会話とほとんど同じじゃん。こんなシーン台本になかったはずだが――確かに赤文字で追加されてい る。
 おれは台本と映像を見比べる。
『こいつぅ!』
 美耶子の髪をくしゃっとする亀垣。
『やったなぁ!』
 怒って反撃する美耶子。亀垣にむしゃぶりつく。
 ほほえましいじゃれあいだ。
 台本では、ここからアドリブ、となっている。
『もっと羽目を外していいから』
 ディレクターの声が入る。
 さっきよりもじゃれあいがエスカレートする。
 ソファの上で美耶子が亀垣に馬乗りになる。それを亀垣がはねのける。逆に美耶子にのしかかる。脚をバタつかせる美耶子。
 ちょっとしたプロレスごっこだ。
 二人のテンションが上がっていく。
 美耶子は本気ではしゃぎ、声を高める。このディレクターは美耶子の引き出し方を知っている。たしかにふだんの美耶子はこういったじゃれあいが大好きで、すぐ に夢中になる。そうすると、天真爛漫な表情や振る舞いが出てくるのだ。
『このぉっ、ゆういちめぇっ! うりゃあーっ!』
 タンクトップがめくれ、パンツ丸出しにして、美耶子が暴れる。それを亀垣が受け止め、動きを封じる。
『どうだ、このっ! おとなしくしろっ』
『やあーっ! もーっ!』
 亀垣から逃げようとした美耶子のタンクトップが完全に脱げる。裸の上半身が露出する。ピンクの乳首がさらされる。
 まくれあがったスカートから覗いたパンツがなかば以上ずれて、おしりが見える。
『やっ……あっ……』
 美耶子が羞恥の声を上げたのと、亀垣が下から美耶子を抱きしめたのは同時だった。
『お……おにいちゃん?』
 おれは台本に目を落とす。
 台本ではここで美耶子から兄にチューをしかけ、それを亀垣が笑っていなすことになっていた。
 だが、微妙な間が流れる。
 そのとき、亀垣が台本にない動きをした。自分から美耶子にキスしたのだ。
『むぅ……っ!?』
 目をみはる美耶子。それもそのはず、台本ではほっぺにチューするはずが、亀垣がキスしたのは唇だった。
 それも、舌を入れている。そして手はむき出しの美耶子のおしりをなでている――Tバックだからかなりきわどい。というか、ほとんどむきだしのおしりをなでさ すっている。
『ん……んんぅ』
 いやいやする美耶子だが、カメラがまわっていることもあり、それ以上の抵抗はできない。そして、変化が訪れる。
 美耶子の目がとろんとして、身体から力が抜ける。亀垣の上に乗っかった姿勢で、だらんと弛緩した。
 パンツがなかば脱げたおしりの肉を亀垣にぐっとつかまれ、左右に広げられる。
 アソコはかろうじて隠れているが、おしりの穴は見えている。
 アヌスを開いたり、閉じたり、穴の周辺のひだをマッサージするような動き。
『むぅ……うう……っ』
 美耶子がおしりを左右に振っていやいやする。だが、その動きはか弱い。
 いくらなんでもこれはめちゃくちゃだ! 亀垣め、暴走しやがって! ディレクター、はやく止めろ!
 だが……
『はい、オッケー』
 ディレクターはNGではなく、OKを出した。
『いまの、見えてた?』
 スタッフに確認する。
『はい、ちゃんと映ってます』
『アソコは隠れてたよね』
『大丈夫です』
『じゃ、急いで編集に回して』
 なんだ? いったい何が起こっている?
『肛門は性器じゃないから、テレビにのっけちゃってもいいし』
『はい』
 ちょっと、まて。
 今のシーン、美耶子の尻の穴が、テレビで放送されるというのか?
『放送オンエア入ります!』
 タイムキーパーの声。いつの間にか21時になっている。
 このままではとんでもないことになる。放送をやめさせなければ。
 だが、ドアは外から施錠されていた。いったい、どういうことだ、これは!
『無駄だよ、小鳥くん――どこにいるかわからないが』
 モニターのひとつに窪塚が映った。あらぬ方を見ている。どうやらリアルタイムに語りかけているらしい。この部屋のどこかに隠しカメラやマイクもあるのかしれ ない。
「窪塚! 話がちがうだろ!? なんだ、このエロドラマは! うちの美耶子になんてことさせやがんだ!」
 おれはどこかにあるかもしれないマイクに向かってわめきたてた。どうやら、おれの声は窪塚にも届いているようで、顔を微妙にしめやがった。
『問題はないよ。ゆうべ、美耶子くんと打ち合わせをして、ちゃんと同意も取ってある」
「おれがいないところでだろ!? こんな撮影、許可できん!」
 おれはわめいた。
『美耶子くんとはじっくり話し合って、究極のリアリティを目指そうということになったのだ。妹が兄に恋する、そういうタブーに挑戦するこのドラマにおいても美 耶子くんもギリギリまで身体を張ってみせると』
「だが、常識的に、10歳の子供にあんな格好させるか!?」
『常識? ふふっ』
 窪塚が鼻で笑った。
『常識に従って視聴率がとれるなら苦労はしない』
「な……っ」
『視聴率が取れるなら身内の不幸でもネタにする。少女のおしりで数字が取れるならパンツだって脱がす』
 言い切りやがった、こいつ。
「ほ、法律とか……その……モラルは?」
 若干、気圧されてしまうおれ。
『テレビは魔法なのだよ、魔法の世界に法律など無力――オンエア映像を見たまえ』
 おれは、オンエア中とおぼしいドラマの映像を映すモニターに目をやった。
 ドラマの冒頭部分だ。インパクトのある映像ということで、美耶子のパンチラシーンが使われている。
『数字も映っているはずだ。その変化を見てみたまえ』
 たしかに、画面の下に数字が表示されており、刻々と変化している。だいたい十前後といったところだ。それが、美耶子のパンツが見えた後、その数字が十幾つか になった。
『これは疑似視聴率――ネットを使ってリアルタイムに調査している独自の数値だが、実際の視聴率とのシンクロ率は95%以上――この数字がそのまま視聴率と 言っても差し支えない」
 シーンが進み、美耶子と亀垣のが入浴するところまで来た。十数パーセントで推移していた数値はすでに二十パーセントを超えている。
 映像そのものにそのものズバリの裸は映っていない。だが、実際には素っ裸で演技している美耶子の恥じらいぶりは真に迫っていて、妙にエッチだ。そのためだろ うか、数字の伸びが著しい。
『そして、たまにサービスカットを入れ込む』
 窪塚が言う。画面のなかの美耶子が急に動いたせいで、乳首が一瞬見える。いかにも偶然見えた、という感じだ。それによって数字がまた上がる。
『子供の乳首はかつてのテレビでは問題にはならなかった。おしりもだ。だが、今の時代では違う』
 美耶子と亀垣のじゃれあうシーン。ついさっき撮影したシーンがもう編集されている。
 一瞬――ほんの一瞬だが、美耶子のパンツがずれて、肛門が見える。
 ああくそ、これ放送されてんのかよ。おれ一子ちゃんに殺されるぞ。
 疑似視聴率の数字が爆発的に伸びる。クチコミで広がっているのかもしれない。30パーセントを超えてしまった。
 その後はさまざまな登場人物が出てきて、ストーリーが動きはじめる。数字は高いところで安定しているが、さっきまでの伸びは影をひそめる。
『ここで視聴者に物語を理解させる。美耶子くんが兄のためにダイエットを決意するまでの展開だ。もうこの時点では視聴者はみんなけなげな美耶子くんの味方に なっているという案配だ』
 む。たしかに、ドラマ自体はおもしろい。キャストも豪華だし、速攻で撮った割には映像もしっかりしている。美耶子もがんばっている。台本に沿ったセリフは素 人くさいが、アドリブ部分はハッとするほど天真爛漫で魅力的に描かれている。
『そして、中盤の見せ場、ダイエットのシーンだ』
 撮影現場を映しているモニターの中が慌ただしい。
『ここからは生撮りシーンとのリアルタイム合成だ。失敗が許されない、まさに正念場だよ』
 窪塚がモニターの中からおれに向かって――あいつからおれのことは見えていないに決まっているが――語りかける。
『美耶子くんに身体を張ってもらう時が来たようだ――おいで』
 美耶子がモニターに現れる。窪塚に肩を抱かれる。
『はい、おじさま……覚悟はできてます』
 うつむいていた美耶子が顔をあげる。興奮と緊張のためだろう、うっすらと汗をかき、頬を上気させている。
『監督と助監督のいうことをよくきくんだよ、いいね?』
『はい、リハーサルもしているから、だいじょうぶです』
 しっかりとうなずく。
『小鳥くんが別室で見ているそうだよ。美耶子くんのことを心配しているようだが』
 美耶子がこちらを見た――といっても、カメラを見ているだけだろうが――
『ゆういち、あたしは大丈夫。夕べ――あたしは決めたの。窪塚のおじさまや、ディレクターや、桃山園さんと――この仕事をやりきってみせるって。だって……』
 その目尻に一瞬光るものが見えた。
『――時間です』
 タイムキーパーの声だ。
『ゆういち、あたし、もう女優になったんだよ』
 言い置いて、美耶子はきびすをかえした。
『――さよなら』
 その美耶子に近づいたのは小太り、ひげ面、サングラスの中年男子だ。メイク役だと思っていたが、ハンディカメラを持っている。
 あの出っ張ったお腹は――ああっ!?
『じゃあ、美耶子ちゃん、乗馬マシンのシーンから撮り直しよ』
『はい、桃山園さん』
 桃山園?
 あいつ、桃山園か? 髪型とか服装が違っているからわからなかったが、あいつ、桃山園だったのか!?
『あの後、彼が企画を持ってきてね。今回のドラマは実は彼の立案なんだ』
 窪塚がしれっと言う。
『あえてディレクターは助手にまかせ、自分は裏方に徹するという話でね。その心意気に免じて復帰させたのさ』
 桃山園がニタニタと笑いつつ、おれに振り向く――
『おひさしぶりぃ。あんた、夕べはお楽しみだったみたいね? にしても、ひっどい男ねぇ、美耶子をほっておいてほかの女とやりまくるなんて。でも、大丈夫、 ちゃあんとあたしたちで美耶子の面倒みてあげたから。あんたのいるその部屋で、リハーサルを兼ねた演技指導をね?』
 もしかしなくても、この部屋にもカメラがあって、きっとおれのぽかんとした間抜けツラが相手にも見えているのだろう。そして、あの楽屋にも――
 おれはソファに近づいた。脱ぎ捨てられた服を確認してみる。
 それは、たしかに夕べ美耶子が着ていたパジャマと――下着類だった。
 今更ながらに気づく、煙草のにおいのほかにただようこのすえた匂い――散乱している紙くず――ティッシュくずが放つ青臭い匂いに。
 ゆうべ、いったい、ここで何が――
『ここからはあたしが仕切るわよ。ダイエットシーン、準備!』
 桃山園が宣言し、傍らの美耶子のおしりをぴしゃんと叩く。
『ロデオマシンにまたがりなさい、はやく』
 運び込まれてきたロデオマシンは、昼に使われていたものとよく似ていたが、またがる部分が違っていた。
 座面から突起がいくつも突き出し、その部分が振動するように改造されていた。
『さあ、またがるのよ――脚本通り――パンツを脱いでね』

パンツを脱いでね


      5.放送中(オンエア)/撮影現場(ライブ)

 視聴率の数字が上り続けている。
 おれは、ふたつのモニターを同時に見ていた。
 放送中のドラマと、それとシンクロしてリアルタイム撮影されている情景を。
 オンエア。美耶子はエクササイズマシンにまたがる。機械が動きはじめる。
 リアルタイム。美耶子がまたがるエクササイズマシンは改造されている。座面にはラテックス製らしい突起がたくさん飛び出している。
 前後、左右、マシンのシート部分がローリングする。美耶子も腰を揺すってその動きに合わせる。
 じっとりと汗をかく美耶子。タンクトップに汗ジミがひろがり、ミニスカートから覗く細い太股も汗ばんでいる。
 タンクトップの胸元が不自然なほど膨らんでいる。乳首のあたりだ。
『あっ、あっ……』
『いやらしい子ね、そんなに乳首がいいの?』(桃山園の言葉はオンエアには乗っていない。美耶子のイヤホンにだけ届いている)
『ちが……』
『ちがわないでしょ? 乳首、どうなってるか、見せてみなさい』
 桃山園が命じる。美耶子は振り落とされないように、片手だけでタンクトップをたくしあげる。
 むき出しの少女の胸。そこにテープで貼り付けられたローターがふるえている。
『なによ、やっぱり乳首で気持ちよくなってるじゃない』
『いやああああ』
 美耶子が上体を振る。

 ローターがはがれて飛ぶ。赤く充血した乳首が露わになる。
『いまよ! 切り替えて!』
 タンクトップをたくしあげ、乳首を立てた状態の美耶子の映像が、オンエア映像に乗る。
 全国に流れる美耶子の乳首――!

乳首がみえた!?

『もどして! 見せすぎは逆効果よ』
 だが、数秒間とはいえ、生乳首は効いたと見え、視聴率が上昇。不思議なもので、子供の裸のほうが昨今は規制が厳しいそうだ。子供の裸の性的アピールを社会が 認め始めたということだろうか。
 ロデオマシンの動きが激しくなる。美耶子も腰を振ってそれに対応しようとする。
『んっ……あ……はぁ……』
 美耶子が声を弾ませる。
『あっ、あっ、あっ……くんっ』
 おしりを振りたくる。

 だが、いまの美耶子はパンツをはいていない。
 サドルがおしりに食い込んでいる。
『ここよ!』
 桃山園が命じ、オンエア映像に美耶子の生尻がサドルの上で踊っている映像がすべりこむ。
 あたかもTバックの下着が角度によって見えなくなったようだ。だが、美耶子のおしりがアップで電波に乗っている。
『割れてるとこ、ちょっと見えちゃったかしら……まあ、いいわ』
 おしりが露出して、股間がシートと密着したり離れたりするたびに湿った音をたてはじめる。ぴちっ、ぴちゅっ、ぴちっ――
 シートの動きはさらに激しさを増し、下から突き上げるように振動する。落とされまいとする美耶子は、天をあおぎ、必死でこらえている。
 乳首を小学生にはあるまじきほどおったて、ワレメをサドルでこすられて濡らしながら――
『くっ、あっ、ひんっ! ぅっ、うっ、うぅーっ! い、いくっ』
『美耶子、あと10秒よ――そこまでイっちゃだめよ』
『らめ……らめぇ……ひっちゃう』
 複数のカメラが美耶子をねらっている。そのうち、上半身だけを映すカメラの映像がオンエアに使われている。
 美耶子の目はうつろ、よだれをたらさんばかりのアクメ顔。
『ひぃく! ひゃああ……』
 びくんびくん身体をはねさせながら、10歳の少女が軽く気をやる。
 その瞬間が全国ネットでさらされる。

 視聴率がさらにアップする。その映像の意味がわからずとも、「迫力」は視聴者の心をとらえるのかもしれない。並の演技を超えた、ナマの迫力――
『いいわよお……次のシーンいくわよ』


 オンエア――美耶子は大好物のアイスキャンデーを一度に二本もほおばっている。
 リアルタイム――美耶子は桃山園と亀垣のペニスを交互にしゃぶっている。
 右手に亀垣、左手に桃山園――握って、上下にしごきながら、かわるがわる亀頭に口づける。
「そうよ、うまくなったじゃない」
「おれたちが撮影の合間にしこんだおかげだよな」
 桃山園と亀垣が下卑た笑いを浮かべ、美耶子の髪をつかんでは、喉奥までペニスを突き入れる。
「うぐ……むぷっ」
「もっとおいしそうにしゃぶらないとだめでしょ?」
「ん……ほ、ほひしい……っ」
 オンエア映像では、ペニスの部分がアイスキャンデーに差し替わっている。

「ほら、きもちよくしてやるから、ちゃんとペロペロしろよ」
 亀垣が手にしたリモコンを操作する。すると、美耶子のクリトリスに張り付けられたローターの 振動が激しくなる。

「んんっ……あぃいい」
 快感に顔をゆがませつつ、
亀垣の亀 頭アイスキャンデーを愛しげになめる美耶子。そのアップが全国ネットに流されていく。視聴者は、美耶子がよほどのアイス好きだ と思うことだろう。
「こんどはあたしの玉袋よ」
 うなずいた美耶子はたれさがった桃 山園の陰嚢シューアイスをなめあげ、さらに吸い込んだ。
 オンエアではこれがシューアイスに見えてしまうんだから、いまのCG技術は凄い。
「手を休めるな」
 亀垣が命じる。美耶子はあわてて亀垣をしごく手の動きをはやめ、亀頭のくびれに指をからめる。
「ほら、そろそろだ、大きく口をあけなさい」
 オンエアでは美耶子が二本同時にアイスキャンデーをくわえるシーンだ。
「む……むり」

二本もなめられないよぉ!

 美耶子の口では大人のペニス一本でもいっぱいいっぱいだ。二本なんて無理に決まっている。
「それでもやるのよ、あんたプロでしょ?」
 桃山園は美耶子の口にペニスをつっこむ。亀垣もだ。
「むぐぅううううっ!」
 同時にローターフルパワー!
「ひゃううううううんっ!」
 美耶子の顎がかくんとひらく。
同時におしっこも漏らす。
「みゃああああああああああああっ!!」
 絶叫とともに二本のペニス棒 状のモノを喉奥まで受け入れる。
「おおおおおお、これはさすがにヤバぇ!」
 亀垣が腰をゆさぶりながら、喜悦の声をあげる。
「いいわよお、小学生の喉まんこ! お顔にびしゃびしゃぶっかけてあげるから!」
 桃山園もピストン運動の速度を上げる。
「出す、わよお……5、4、3、2、1……」
 オンエアでは美耶子が口いっぱいに何か棒状のものをほおばっている。視聴者はまさかそれがペニスだとは思うまい。心理の盲点というか、前後の映 像からの錯覚というか、いや、なにより、そんなシーンがお茶の間に流されるはずがない、という思い込みが前提にあるのだ。
「でるぅ!」
 桃山園が叫び、ペニスを抜く。手を添えるまでもなく――
 びゅびゅっ!
 精液が飛ぶ。それが美耶子の顔にもろに命中。 
 オンエアでは練乳ということになっているが、ぶっかけAVマニアなら、そのシーンを見たらわかるかもしれない。練乳にしては微妙に薄く、泡だった粘 液――

「おれも――ううっ」
 亀垣も達して、射精体制に入る。
「飲めよ――おれの」
 美耶子の口を独占し、イラマチオを敢行。
「うおっ! 出るっ」
 大胆にもカメラは亀垣の口中射精シーンを接写。ただしオンエアでは巧みに美耶子のアップでごまかしている。
「にぎゃ……」

 顔をしかめる美耶子の口元から、でろおりとこぼれる精子――いや、アイスクリーム……
 少し遅れて、視聴率の上昇を示すグラフが一気に跳ね上がった。
  
     6.女優誕生

「はひぃ、はひぃ、ひひっ」
 美耶子が荒い息をしながらのけぞる。
 オンエアでは過酷なダイエットのクライマックスシーンだ。美耶子が必死で運動をしている。何の運動だかはわからない。画面では美耶子は上半身か顔し か映らないからだ。

 まさか中年男とセックスしている――しかも生中継で――なんて、だれにも想像できまい。
 桃山園のペニスが美耶子の中に出たり入ったり――
「どう!? あたしのチンポ、いいでしょうが!」
「はひっ! ひいれすっ!」
 よだれをたらしながらよがり顔をさらす美耶子。

「小学生のくせに子宮突かれて気持ちよくなるなんて、おかしいわよ、あんた」
 顔の贅肉をふるふるさせながら、桃山園が笑う。
「ひゃひ! おかしくなっちゃう! おまんこ(ピー)、 気持ちいいよう」
「こらっ、セリフ、気をつけなさいよ。まあ、ナマ放送っていっても、タイムラグはあるから、やばいところは元々撮影したトコに差し替えられるけど」
「きっ、きをつけますう……ひゃあっ!」
 クリトリスの包皮をむかれ、ピンクパールの突起をもろだしにされつつ、膣にペニスをね じこまれている。
 出し入れしているところをカメラに撮られている。
 結合部のアップはさすがにそのまま放送することはできず、サブリミナルのように瞬間的にしか映らないが、それでも、数 千万人がみている画面に美耶子の恥部がさらされているのは事実なのだ
「ほらほら、ケツをもっとつきだしなさい。肛門が見えないでしょ? 肛門はいいのよ性器じゃないから映っても」
 そんなわけあるかよと思いつつ、カメラが寄っていくのをモニター前で凝視しているおれがいる。
「ほうら、ぱくぱくー。おちんちんを押し込んだらきゅっとなるのね、おもしろいわあ」
 膣にうめたペニスを動かすのと同時に指でアヌスを開いたり閉じたり
 美耶子の胎内の力の入り具合が手に取るようにわかる。
「いやあ……おしりの穴(ピー)、 撮られるのいやあ……」
「みんなに見られてるわよ、そう……五千万人くらい?」
「うそお……」
 泣き声をだす美耶子だが、
桃山園に膣奥を突き上げられるたび、ひゃうんとかわいい声で鳴く。
「あんた、ケツの穴、柔らかいわねえ……チンチン入れたことあるんじゃないの?」
 ぐいっと広げられ、完全な穴にされる美耶子の肛門。
「な……ないよぉ……」
「ほんとうかしら? それにしてはこなれすぎよ」
 指を入れてゆく。
「あらやだ、指が二本楽にはいるわ。四本ならどお?」
 両側から、人差し指と中指、二本ずつで穴をほじり、広げていく。
「ひゃうっ! おしり(ピー)裂け るぅっ」
「なにぃ、まだ余裕あるじゃない。あんたやっぱりチンポ入れたことあるんでしょ? 白状なさい!」
 問いつめつつ指を奥に入れていく。同時に膣を――たぶん子宮を直接突き上げる。
「あっあ、あんあんあ……っ!」
 美耶子がのぼりつめていく。

「ふぁい……ふぁいぃ……入れたことあります、お しり(ピー)大好きですぅぅうっ!」
「じゃあ試しましょ。視聴者もそれをお望みよ」
「ひゃ、まら……もひょっと……!」
「だめよ、いまCMに入ったわ」
 いく寸前の美耶子をぽんと投げ出す。美耶子はベッドの上にうつ伏せて力なく嗚咽。これはひどい仕打ちだ。ひどいの基準が我ながらおかしいが。
「だいじょうぶ、たぁっぷりイカセテあげるから、はあと」
 はあと、って声に出して言いつつ、美耶子の細いからだを抱きよせ、自分の膝の上に座らせる。
 むろん、出っ張っているところを美耶子の穴に押しつけながら――
「CMあけは、美耶子ちゃんアナルファック開始よん」
 狂ってる。こんなの放送できるはずない。
「3、2、1 CMあけます」
「ほら、ずぼー」
「やああああああっ!」
 桃山園は美耶子を強引に座らせる。
「いたぁっ! さけっ、さけちゃ……うあああっ!」
 美耶子はのけぞり、カメラの前でアナルを貫かれた。



 ドラマは感動のシーンに突入していた。
 意地っ張りで兄の前でも素直になれなかった少女が、兄との約束を果たすためにマラソン大会に出場、意地悪なライバルの妨害にあって足をくじきながら も必死でゴールを目指す――っていつの間にそんな話になったんだ?
「はひっ、ひはあ……ひっひっ」
 目をとろんとさせながら息を荒げる美耶子の表情がオンエアされている。小刻みに上下動しているのも、いかにも足をひきずりながら走っているっぽい。
「いっ、ひ……」
 涙とよだれがつぅっと尾をひく。
 さっきまでは、「痛い」「無理」などの悲鳴が中心だったが、だいぶんこなれてきたらしい。

「美耶子のおしり、すっごく具合がいいわよっ、あんたどっちの穴でも稼げるんじゃない?」
「そ……そんなこ……な……」
「おしりの穴ほじられつつ、おまんこ大洪水なんだけど?」
 くぱあ、だ。
 おしりにペニスをつっこまれて、さらにおまんこくぱあで、それをテレビカメラに撮られている。
 オンエア的には意味不明な心理描写のCGに紛れてしまっているが、生放送に美耶子の具が映っているのは事実だ。
 広げられた美耶子のアソコからは、本気汁がとろとろと。

 桃山園が亀垣に合図だ。
「さ、そろそろクライマックスといきましょうか」
 亀垣はニヤニヤ笑いつつペニスをしごく。
 くぱあ状態の美耶子のおまんこに亀頭をこすりつける。
「う、うそぉ」
 美耶子が目を剥く。
「二本いっぺんなんて、むりだよお」
 ドラマでは、町内駅伝のアンカーに選ばれた美耶子が、二人のランナーから同時にタスキを渡されるシーンになっていた。
 あわてふためき驚く美耶子の表情が流されている。
 その表情が、とろける。
「あ……ふぅん」

 亀垣のチンポが美耶子のおまんこに潜り込んでいた。
「二本いっぺんって……すごくいいかも……」
 美耶子が小鼻をひくつかせて、言う。

「へへ、美耶子の小学生まんこも、最高」
 亀垣は美耶子の乳首をつねりながら、膣を生ペニスで突き上げる。
「あひっ! ひうっ」
 奇声をあげる美耶子だが、ドラマの画面では感動的な音楽が流れていて、ただ、懸命に身体を揺すり走っている美耶子の様子しか映っていない。しかし、 いまの合成技術はすごいな。
「当たる……当たってるう……」

「美耶子の子宮、ぶち抜いてるのわかるか」
「おしりの穴もぎっちぎちよお」
「ああん、あああああーっ! おまんこ(ピー) も、おしり(ピピー)も、おちんちん(ピピピ-)、おいしいっていってる よおッ!」
「やばっ、いまのやばっ! ちゃんと差し替えた? なんかもうむちゃくちゃだけど」
 美耶子が狂った。
 それほどまでに快感に浸っている。
 ああもう。本番中なのに――いろんな意味で――亀垣とキスをはじめた。舌を絡ませる、小学生にはあるまじきキス。
 さすがにオンエア画面ではすでに撮ってある映像に切り替わっているが、数秒間は映っていたからかなり話題にはなるだろう。視聴率もさらにあがっていた。
「体位かえるわよ」
 桃山園が言い、美耶子をひざまずかせる。
 orz こんな格好だ。
 後ろから桃山園がアナルを 
 下から亀垣が膣を
 それぞれ激しくえぐる。
 オンエアでは足をくじいた美耶子が痛みにうめくシーン。
「ああっ、ひあ、うくぅ……」
 その苦悶の表情を数千万の視聴者が見守る。

 だが実際は、性器と肛門を「同時にファックされて悦んでいる表情なのだ。
 のちに評論家が「天才子役あらわる」と絶賛した怒濤の三分間が始まった。

二本も入らないよお!

 ああああああああァ
 おまんこイイ おまんこイイよぉ
 おしりっ
 おしりの穴があつくって、おかしくなるぅ
 おまんことおしりのなかでオチンチンがこすれて、ごりごりっ
 監督のオチンチン最高です
 亀垣くんのオチンチンすてきです
 二本いっぺんなんてすごすぎ――
 ゆういちとのエッチよりずっとすごくて、はげしくて
 美耶子はいま、幸せですしあわせ、すぎっ、ああああああああ
 もれそう
 おしっこもれる
 いきそう
 あああああああ 
 いくいくいく……でるおしっこでちゃう
 おしっこのあな、もう限界
 くっふぁあああああああああああっ
 ら、らぁめえ、リズムあわせちゃだめえ
 監督のが抜けそうになったら亀垣くんのが奥までくるのお
 亀垣くんのがさみしくなったら、監督さんのがおなかの奥までつきあげるのお
 気持ちいいのが終わらない続くよおすごすぎだよお
 十年間生きてきて、こんなのはじめてだよお
 セックスっていいよぉ
 これからもずっと――美耶子は監督たちとセックスするぅ――させてぇ
 あああああああああああッ
 ほんとにっ、ほんとにイクウウウウッ!!


「いきなさい。そしたら、あんた、地上波テレビで最初に生セックスしながらアクメった小学生になれるわよ」

 なるううう、それ、なるううう!


「ついでに小便もらしながら中だしされな」

 あう、だ、出して、おまんことおしりにいっぱい出してお願いィィィ!


 ――美耶子の声はオンエアされてない。
 だが、美耶子の表情はアップで放送されている。
 ゴール寸前のクライマックス。感動的な音楽とともに――

「おほっ、出るわよぉお! 美耶子のおしりに精子浣腸よぉ」
「おれもっ、小学生の子宮に直がけしてやるっ!」
 男たちがめちゃくちゃに動き、そして。
「おっおお」
「うぅっ」
 同時に射精。
「あっ、あついのがっ! おまんことおしりに、っ、りょうほおっ……! あああああああいいいいいいいいいくううううううっ!」
 ビュッビュビュッ!
 股間から透明なしぶきを吹き出しつつ、美耶子が絶頂に達する。

「顔、撮って……いい顔よお」
 汗と涙とよだれ、さらに潮吹き――ベトベトになった美耶子のアクメ顔が大写しになり、感動のゴールシーンだ。
 美耶子のアップにかぶさるように「第一話、おわり」の表示が出る。



「ホンバン、完了ね――カットォ」
 桃山園は言い、ペニスを美耶子から抜く。どろどろ、中年男の半固形の精液が美耶子の肛門からこぼれおちる。亀垣は自分が射精するとさっさと離れてしまったの で、膣口からも精液が盛大に噴き出している。若いだけに量も濃さも凄い。
「あ、いけない、これも撮らなくちゃ。DVD特典のメイキングビデオにするんだから」
 ぐったりした美耶子は股間を広げられ、膣と肛門から精液がこぼれだしているところを接写される。こんなに犯されても美耶子の幼い性器とアヌスは美しさを失っ ていない。それは不思議なほどだった。
「いやあ、よかったよ! みんな、お疲れ様」
 拍手をしながら窪塚が近づいてくる。
「特に、美耶子くん、すばらしい演技だった。ネットモニターによる速報値だが、今期のドラマで最高の視聴率は確実だよ」
「窪塚のおじさま」
 美耶子は脚を広げさせられたまま、朦朧とした目を窪塚に向けた。
「わたし、ちゃんとできました?」
 そして、にっこりと最高の笑顔を浮かべたのだった。


 結局、ドラマの第一話は圧倒的な視聴率を取り、窪塚ドラマとしても異例なヒットとなった。
 美耶子の体当たりの演技は「やりすぎ」と一部の批判を受けたものの、ほとんどは絶賛をもって迎えられた。小学生の女の子がスポーツをしているときのせつなげ な表情にやらしい想像をするのはけしからんことだ――良識的な人々はしたり顔でうなずきあい、美耶子の演技力を高く評価した。
 ただ、二回目以降も、美耶子がダイエットマシンに乗ったり、アイスやバナナをくわえるシーンはお約束になった。入浴シーンでのチラリもだ。
 もちろん、実際の撮影で美耶子が裸になったりすることはない。ちょっとでもきわどい撮影では代役を使いさえする。
 しかし、それはマスコミに公開される表向けの撮影だ。
 その後、おこなわれる泊まり込みの撮影で、美耶子は全裸にされ、さまざまな器具をつかって刺激され、桃山園や亀垣やほかの役者やスタッフに犯される。その表 情や声がドラマに使われているのだ。
 たとえば第四話では、美耶子は出番中、ずっと前後の穴にバイブをつっこまれたまま演技をしていた。ドラマ中ではしゃっくりがとまらないという設定だったが、 実際は美耶子が「ひぐっ」と声をあげて身体をふるわせていたのは、桃山園がリモコンでバイブの動きを最強にしたからなのだ。
 おれはあいかわらず美耶子の付き添いで撮影所に行く。一子ちゃんはおれを信じて美耶子を託してくれているのだが、美耶子はすでにおれのことは眼中にない。
 常に台本を手放さず、役に没入している。役柄のために変えた髪型も定着してしまった。
 美耶子のやつ、このところは言動や立ち居振る舞いまで大人っぽくなってきたようだ。
 おれは変化していく美耶子をモニターごしに見つめ――ため息をつくしかないのだった。

 美耶子の子役としての人生は、こうして始まった。

おわり