うたかたの天使たち 第四話(5a)
おれは布団のなかの苑子の顔に唇を寄せた。
頬のあたりに唇をつけ、それから耳元で囁く。
(今日はここまで)
(う……うん)
苑子はホッとしたように答える。
だが、おれはだめ押しに両の乳房を同時につかむ。
(ひゃっ)
(今後は不用意にこういうものをおれに押し当てたりしないようにな。苑子のここはすごく可愛いから、おれ、理性をなくしちまうぞ)
おれは手ざわりを楽しみながら言った。ええい、最後くらい、いいだろ。
苑子は抵抗せずに、じっと身を委ねている。
聞き返す声は震えていた。
(わたしの、おっぱい、よかった?)
その口調に、ちょっと驚いた。
驚いたが、おれだって、苑子が女の子だってことはわかっている。
正しい答えは、これだ。
(ああ、最高だ)
苑子の声が――囁き声だが――華やいだ。
(なんか、嬉しい……。おにいちゃん、また触ってね)
(苑子がいい子にしていたらな)
おれはそう言うと、苑子の広いおでこにキスをした。
そして、苑子の布団から抜け出ると、彼女に見送られながら、慎重に一子ちゃんをまたいで――部屋から脱出した。
廊下に出て、おれは大きく深呼吸した。危機一髪だったが、なんとか切り抜けることができた。
それにしても――回想する。
苑子は惜しかったな。あのまま続ければ、もっといろいろ出来たろう。
だが、あれ以上やったら、この家におけるおれのポジションが微妙になるからな。どうやら、苑子にはちょっとしたスキンシップだと思いこませることができようだし、これはこれでよかった。
小学生のおっぱいにイタズラしまくっておきながら、「いい人」っぽく立ち去るのって、シブいよな、なんとなく。
だが、チンチンはものすごく硬くなっていて、痛いほどだ。歩くのもつらい。おれは暗い廊下で、股間を露出させた。張り詰めたものが反りかえる。先端はヌルヌルだ。
たまらずしごいた。だめだ、こりゃ。一発抜いておかないと、眠れんぞ。
おれは自分自身をしごきたてながら、廊下のつきあたりの便所に向かった。
苑子の胸の感触を思い返しながら、のぼりつめていく。
ああ、出そうだ。便所まで、あと五歩。
その時だ。
ジャーゴボゴボゴボとか音がして、ドアが内側から開いた。内部の電灯の光がシルエットを切り出す。
おれは凍りついた。まさか、先客がいたとは。
しかも、おれのポーズは最悪。チンチンを握って射精体制。
気恵くんが凝然として立っていた。
しばし、おれたちは見つめあった――そして、破滅の刻が訪れた。
とぴゅっ。ぴゅっ、ぴゅううう。
次の瞬間、恐ろしい絶叫が宇多方家の夜のしじまを破ったのは言うまでもない。