最後のあとがきです。

 みえみえではあったとは思いますが、これが「まゆ、それから」の真のエンディングです。

 さて、ここでお気づきの方がいらっしゃるかどうか……この作品で、まゆは最後まではしないものの、神村弁護士とかなりのところまでいってしまいます。

 これがどういう意味を持つかについてお話しする前に、おさらいの意味をこめて「MA−YU」のシリーズの構造をかんたんに紹介すると、


 「MA−YU」

 プロローグ−−−−鬼畜編−−−−−−まゆ、アメリカへ(弁護士、天野夫妻)
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        −−純愛編−−−まゆ、こわれる(沢)
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              −−−−−まゆ、アメリカへ(沢)
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                −−−
まゆを守りぬく(沢)


 「まゆ、それから」

 プロローグ−−−薔薇色の涙−−−−−まゆ、不良の玩具に(沢、中学生たち)
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       −−満たされた毒牙−−−まゆ、弁護士の奴隷に(沢、弁護士)
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                 −−まゆ、祥英学園受験へ(沢、弁護士)


 という感じになります。カッコ内は、各エンディングの時点で、まゆが肉体関係かそれに準ずる関係を持っている人物です。赤い文字で書かれている部分は、次の話につながっていく真のエンディングであることを示します。

 すなわち、「MA−YU」の正規エンディングでは沢ひとりしか知らなかったまゆは、「まゆ、それから」では、どのエンディングにおいてもほかの男を知ってしまっているということです。

 最初の構想では、「まゆ、それから」のプロローグにおける分岐で、「まっすぐ家に帰る」というものが入る予定でした。

 でも、そうしませんでした。

 なぜか。

 「MA−YU」を書くにあたって、陵辱シーンもやりたいけれど、だからといってヒロインを完全に壊したくないなあ、と思いました。、そこで、分岐という方法をとったわけです。夢オチというのは生理的にダメですし、いまどきのアドベンチャーゲームはたいていマルチエンディングだから、受け入れてもらいやすいだろうと考えたのです。

 「まゆ、それから」でも同じ方法論を用いています。でも、まったく同じことはできなかった。「この分岐を選んでいれば、まゆはきれいな身体のままなんだよ」というようにはしたくなかったんです。

 それをすれば、物語は前に進みません。沢とまゆはままごとの延長をだらだらと行くだけです。とくに、まゆのほうは。

 だから、彼女に傷をつけました。沢を裏切りかけた、という傷を(解釈によっては完全に裏切ってますね、挿入しなかっただけで、オーラルセックスはしているのですから)。

 この傷が少女をどう成長させるのか、あるいは転落させるのか――

 次にまゆの物語を書くことがあるとすれば、分岐なしでやるかもしれません。

 もう、沢とまゆのふたりに、「もしも」は残されていないのです。