Angels 〜うたかたの天使たち〜

これまでのあらすじ(っていうか、設定)

 大学入学のために上京した小鳥遊一(ことりゆういち)は、祖父同士が親友だったという宇多方家に下宿することになる。

 しかし、宇多方老人はその直前に亡くなってしまい、宇多方家には五人の女の子だけになってしまっていた。

 15歳の一子をかしらに、次女気恵、三女苑子、四女と五女は美耶子と珠子、である。

 主婦がわりの一子はのんびり屋で、しかもエッチ方面の知識はからっきし。

 気恵は主人公に反抗的。

 苑子は逆にどうやら主人公に淡い憧れを感じているみたい。

 美耶子は小悪魔的に家のなかをひっかきまわし、珠子は霊感するどくいろいろなモノを呼び寄せたりなんかする。

 こんな姉妹にかこまれた遊一もだまってはいない。

 彼は、「遊んで一生暮らす」ことをポリシーに、宇多方家乗っ取りをたくらむ両親の尖兵として、今日も闘うのだ!


「しかし、宇多方家の財宝っつってもなあ……。ホントだかウソだか」

 おれは浴槽のなかで身体をのばした。

 檜の風呂にゆったり浸かれるなんて、なんてぜいたくなんだ。だが、身体のほうはリラックスしても、頭のなかではオヤジからの秘密指令のことがぐるぐるうずまいている。

 宇多方のじいさんが財を築いたのは財宝を堀り当てたからだ、というのがオヤジの情報だった。ニュースソースは死んだウチのじいちゃんである。宇多方のじいさんとウチのじいちゃんは大学が同じで親友だったのだ。そのじいちゃんが酔っぱらった時にオヤジにそういう話をしたことがあった、というのだ。もっとも、ウチのじいちゃんもとっくに死んでいるから裏はとれない。あやふやな情報だ。

 だいたい、財宝ってもんは山奥だとかに隠されているもんだろう。こんな都心にほど近い場所にあろうはずがない。

 うちのオヤジはケチで頭が薄くパチンコ中毒だが、ついでに時代小説ファンでもある。そのオヤジの推理によれば、「幕末、幕府の隠し金をある旗本があずかって、自宅の地下にしまいこんだ、その跡地に宇多方家が建てられたのだ」という。むろん、根拠はほとんどないにちがいない。

 その隠し場所をなんとしてでも聞き出せ、というのが指令だ。アホか、ほんまに。だが、きちんと報告しないと、仕送りをしない、などと書いてある。まったくふざけたおっさんである。

「とにかく……だれか知っているかどうか、聞いてみないと」

 と、思ったときだ。浴室の戸がカラカラと開いた。

「遊一さん、おせな、流します」

 一子ちゃんだ。腕まくりをして、タオルも持っている。

「わあっ、いいよ、いいよ!」

 おれは浴槽にもぐりながらあわてて言った。

「遠慮なさらず」

 一子ちゃんはにっこり微笑んでいる。この子はどうもズレている。

「遠慮してるんじゃないって。おれ、ひとりで洗えるよ」

「でも、いつもおじいさまの背中を流していましたし、妹たちの身体も洗ってあげていましたから」

 彼女はすっかりやる気で手おけに湯をくんで、タオルを浸し、せっけんをすりこむ。

「だめだって、もう。いっしょに入るってのなら話はべつだけど」

 おれは相手をあきらめさせるために、そう言った。こう言えばふつうの婦女子は「イヤーン、エッチー」とか言って引き下がるはずだ。だが。

「あ、そうですね。遊一さんがよろしければ、ご一緒させていただきます」

 一子ちゃんは事もなげに言った。脱衣所にもどり、自分の衣服を取りはじめる。

 おいっ、十五だろ!? 中学卒業してんだろ!?

 おれはツッコミを口にしかけたが、喉がかたまった。

 いつもはトロいくせに、服を脱ぐのは迅速だ。もう、なにも身につけていない。

 ぎょく。

 おれは唾をのみこんだ。

 この前の、苑子ちゃんがフトンのなかに入ってきちゃった事件とか、お腹痛の美耶子にイチヂクぶっさした事件も大変だったが、これはやばい。なにしろ、一子ちゃんはもう女の身体をしているのだ。

 胸もけっこう大きい。くびれたウェストから張りだしたヒップなんて、もうけっこうおいしそうに育っている。見まいとしても、つい見てしまうソコは、ああん、きれいなタテスジが!

 だが、苑子ちゃんや美耶子のワレメと比べると肉感というか、ヒダヒダがひそんでいる感じが伝わってくる。もう使用可能なのだ。いや、なにに使うかとかはおいといて。

 でも、一子ちゃんは自分のそーゆー姿がどーゆ影響をこっちに与えているか、ちっとも理解してくれないのだ。彼女は「赤ちゃんはコーノトリが運んでくる」と信じきっているらしい。

「じゃあ、おせな、流しますよ」

「はあ……」

 おれは一子ちゃんに背を向けて座った。しょうがないではないか。正面切って座ったら、おれだって理性を保てない。だいたい、ひとつ屋根の下に女の子がわじゃわじゃいるせいで、オナニーだって安心してできないんだからな。

「遊一さんの背中、大きいです」

 一子ちゃんが嬉しそうに言いながら、おれの背中をこすりはじめる。慣れた手つきだ。ほんとにじいさんの背中を流していたんだろうな。それをなつかしんでいるのかもしれない。

「あとで、わたしも洗ってくださいますか? むかしみたいに、洗いっこしましょ」

 無邪気な声で言う。それはヤバイでしょ、さすがに。

 昔、じいさんに連れられてここに遊びに来たときは、おれは小学生で、一子ちゃんは幼稚園児だったから、洗いっこや触りっこをしても実害はなかったけど。

 いまやったら……最後までイッちまうな。まちがいなく。

「よいしょ、よいしょ」

 背後で素っ裸の一子ちゃんがいっしょけんめおれの背中をこすっている。ああ、一子ちゃんのおっぱいが背中に当たる。やらかいぞお、ふわんふわんふわん、という感じだ。

 だめだっ、理性がたまらんっ!

「いちこちゃんっ!」

 おれは立ちあがり、振りかえって、一子ちゃんを抱きしめようとした。

 腰をおおっていたタオルがはずれ、びゅんっとそそり立ったムスコがあらわになる。

「きゃあっ!」

 一子ちゃんが片ひざを立てて座ったまま、悲鳴をあげた。ああ、おれはレイプマンになっちまうまうまうまう(エコー)。でも、ガマンできないんだよおおおおっ!

「遊一さんっ! たいへんですっ!」

 ぎゅむ。

 うへ。

「腫れてますよお、こんなに……だいじょうぶですか?」

 ぎゅみぎゅみ、にゅち。あ、皮がむけた。き、きもちええ……。

「熱くて、脈打ってますよ。こんな状態なのにお風呂にはいるなんて」

 一子ちゃんの手がやさしくおれのムスコをさすっている。あ、ああ、あかんっ!

 びゅっ、びゅびゅっ!

「きゃっ」

 一子ちゃんの顔に白いねっとりとしたものが付着した。ああ、中学卒業したばっかの子に顔射をきめてしまった。

 だが、一子ちゃんは微笑んでこう言った。

「いっぱい膿が出ました。安静にしていれば、きっとすぐに治りますよ」

 ――かくて、宇多方家におけるおれの苦闘の日々はいろいろ続くのだ!

<つづきはないのよ とりあえず>