まゆとの生活はあっけなく終わった。
救急車でまゆを病院に運び、診断を受けた結果、肉体よりむしろ精神に多大なダメージを受けていることがわかった。
もともと、溺死しかけたという忌まわしい経験から水に対する恐怖心があったところに、風呂で水を飲んでしまい、その記憶がよみがえった。さらに、加えられた虐待行為により、その精神の傷は修復不能なほどにひろがってしまったのだ。
医師は、まゆの身体に残る痕跡を凌辱と判断し、警察に告げた。
おれは強姦致傷などの容疑に問われることになった。しかも年少者に対する虐待だ。罪は重い。
アパートの管理人の証言もあったようだ。風呂でまゆがあげた声が、階下の部屋にはほぼ筒抜けだったのだ。
おれは罰を受けるだろう。
だが、刑法にのっとった罰よりも、さらに重く痛くのしかかってきたのは、病院でのまゆの姿だった。
まゆは、微笑みを失った。
おれを見ると、激しくおびえ、看護婦に取りすがった。
まゆの心は壊れてしまった。
そして、手をくだしたのは、おれなのだ。