まゆ、それからのそれから(4)


 ぬりゅっ!

「いやあああっ!」

 膣が拡大させられる感覚にパニックになったのか、まゆは泣き声をあげた。

 どんどん奥にさしこまれていく。

「抜いてっ! 抜いて、おじさまあっ!」

「まっ、まゆチャンっ!」

 まゆの声にたまらなくなって、弁護士は激しく腰を突き上げはじめた。

「あぐっ、あっ、あはあっ!」

 ちいさな身体が激しく動く。

 おとなのピストン運動を吸収しきれないのだ。

 それでいて、まゆの性器はしっかりと弁護士の欲望を受けとめている。

「なんて子だ、なんて……おおおっ」

 弁護士は腰を使いながら、まゆの内部の感触に圧倒された。

 せまい。圧倒的にせまい。

 なのに、内部はうるおっていて、しかも複雑にからみついてくる。

 とてつもない快感だ。これまでの人生のすべてと引き換えてもあまりある。そんなふうにさえ思えてしまう。

「……っ、あっ、あんっ」

 まゆの声がかわっていた。

 あまい響きがまざった、いやらしい声だ。

「ああっ、はあっ、ううん……」

 まゆが感じている。弁護士のペニスを挿入されて、あえいでいる。

 弁護士は感動しながら、腰を使いつづけた。すると、さらにまゆが分泌して、動きがなめらかになる。

「最高だよ、まゆチャン」

 薄い胸を背後からもみしだき、乳首をつまんでころがす。

「まゆチャンも気持ちいいだろ? なっ?」

「うあっ、あっ、うんっ」

 まゆがたてに首をふった。

「もっともっとしてあげるよ」

 弁護士は腰の動きをさらに速めた。

 ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ――から、

 ちゅっちゅっちゅっ――と音が変化する。

「おじさまっ、だめえっ! まゆ、まゆ、ヘンに……っ」

「イクってお言い、イクってお言い」

 弁護士の声も荒い。年齢も体力もこえた激しいグラインドだ。

 まゆの真っ赤になった顔が小刻みにふるえる。

「いっ、いっ、いっちゃうっ! まゆ、いっちゃ……うっ!」

 まゆの必死の声が弁護士の最後の堰を吹き飛ばした。

「おあっ!」

 どくうっ!

 どくどくどくっ!

 大量の精液がまゆの体内に注ぎこまれていく。

 どく。

 どく。

 ど……

 弁護士は放心していた。

 ことが終わったあと、泣き出したまゆは二度と口をきいてくれなかった。

 服を身につけると、一度も弁護士の顔を見ようとしなかった。

 あやまってみたし、逆におどしてもみた。

 ビデオを撮ってあるんだぞ、とも言った。

 ただ、まゆは悲しげに首を横にふった。

 もうこない、とだけ言った。

 弁護士はまゆが出ていったあとを追った。

 快楽は大きかった。だが、それとひきかえにまゆの信頼をなくしたことは痛恨事だった。

 建物の外に出た。

 もう夜だ。

 そこは車二台がすれちがうのがやっとのせまい路地だ。

「まゆチャン!」

 弁護士は声をあげた。だれかに聞きつけられたらまずい。だが、黙ってはいられなかった。

 ――失いたくない。

 弁護士はさとった。

 抱いていたのは、少女に対するゆがんだ欲望だけではない。

 ひとりの女性として、まゆを愛していたのだ。

 だが、返事はなかった。姿もない。この路地をぬけたところは広い車道だ。そこまで行ってしまっていたら、もうさがしだすことはむずかしい。

「まゆ……まゆ……」

 弁護士はよろよろと路地に歩みでた。

 そのときだ。

 奥の角から乗用車がいきなり曲がってきた。

 この路地は、幹線道路が渋滞のとき、よく抜け道につかわれる。

 とくに夜は人通りがないとたかをくくっているのか、どの車もスピードを出している。

 ヘッドライトのなかで弁護士は凝固した。

 次の瞬間、衝撃が全身を弾きとばした。

 肉のかたまりが路上をバウンドし、さらにその上をタイヤが通過した。

 ブレーキ音がし、乗用車が停止した。運転席からドライバーらしき男がおりてくる。まず車の状態をしらべ、それから路上の肉塊のところに歩み寄った。

 ひと目見て、満足したらしい。

 きびすをかえして乗用車に乗りこむと、アクセルをひらいた。

 その一幕を目撃した者は、だれもいない。

おわり


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