小説講座(その2)

 小説作法についてです。

 いんたねっととかで「小説を書きました〜」とかいう宣伝を見ると、興味がわいて、ちょくちょくのぞきます。

 小説といいつつも、たまに、こんな体裁の作品も見かけます。

 ぽえみぃ:「あんっ、やだったらあ、キースぅっ」

 ぽえみぃ、キースから逃げようとする。

 キース:「にゃはは、ぽえみぃったら赤くなってら」

 キース、ぽえみぃを抱き寄せキス。

 こーゆーのは小説とはいいません。シナリオです。

 シナリオを否定はしません。それもストーリーを語るひとつの手法です。

 でも、小説ではない。

 小説というのは、地の文(説明)とセリフをミックスしつつ、ストーリーを語るものを言います。

 シナリオのト書きは、そのキャラがなにをしているのかを演出家に説明するためのものです。必要なことだけを書けばよい。でも、小説の地の文では、そのシーンの空気を感じさせなければなりません。それ自体が「演技」していなければならないのです。

 さっきの例でいうなら、

 「あんっ、やだったらあ、キースぅっ」

  ぽえみぃはしなやかな身体をよじってにげようとする。こらえきれず、喉から嬌声がもれだす。

 「にゃはは、ぽえみぃったら赤くなってら」

  キースは少女の細い身体を抱きよせ、そっとキスする。

 こんな感じです。これはどっちがよいか、ということではなく、小説の作法というのは後者だ、ということです。

 うづき流では、もうむずかしいことは言いません。セリフと地の文でうまくリズムを作ってさえやれば、小説っぽく見えます。大丈夫です。すぐにできます。

 ぶっちゃけて言えば、セリフひとつに対して地の文ひとつを基本として、そこから地の文を多少間引いてやる、というバランスがよいかと思います。

 「いたた」

  ミクのおしりにトゲがささっている。

 「なんだよ、おれが取ってやろうか」

  キタローがニタニタ笑いながら近づいてくる。

 「いいわよお、もうっ、エッチなんだから」

  ミクはキタローを制した。

 「そりゃあないぜ、チビシー」

  キタローは嘆息する。

 これでもいーんですが、セリフ、地の文、セリフ、地の文という感じで単調です。

 なので、

 「いたた」

 ミクのおしりにトゲがささっている。

「なんだよ、おれが取ってやろうか」

「いいわよ、もうっ、エッチなんだから」

 いやらしい笑みを浮かべて近づいてきたキタローをミクは制した。キタローは思わず嘆息する。

「そりゃないぜ、チビシー」

 こんなふうに、セリフを続けてやったり、逆に地の文を多めに使ったりしてリズムを作っていくとよいです。ちょっと上手っぽく見えるはずです。

 上の例でいえば、「いたた」のあとは、『なんで痛がっているのか』ということは早めに説明したほうがいいし、そのあとキタローとミクのセリフを続けるのは、『間髪入れず』ミクが拒絶した感じを出すためです。で、このシークエンスを「そりゃないぜ、チビシー」のセリフで終わるためには、セリフの前に描写を終わらせておく必要があるわけです。

 このへんは慣れでなんとでもなります。ただ、単調になるのを避けるために、セリフと地の文を入れ替えたりすることは『意識的に』したほうがよいです。

 このへんを心掛ければ、小説っぽいシークエンスを書くことはできてしまいます。

 さて、ここまでで、

・書きたいところからとりあえず書いてしまう。

・小説っぽく書く。

 というところまで来ました。

 エッチな小説の場合は、からみのシーンをメインにおいて、その前後にちょっとしたやりとりを置けば、作品として成立しますから、一本小説を仕上げることはわりとかんたんにできます。

 うづきのエロパロ作品のようなものは楽勝で書けます。次週の「カードキャプターさくら」を見たあとにでも試してみてください。(書けたら読ませてね)

 次回は、ストーリーをどうやって作るか、というところについてお話ししたいと思いません。(思えよ)

2000/2/23