グリーンバニー 2002年
あらすじとか、基礎的なデータはググルなどで別途お求めください。以下は、すでに見てる人向けに書いてますので、ネタバレなどもアリアリです。ご注意あれ。
エロアニメと触手っていうのは切っても切れない間柄なわけで、エロアニメ黎明期においてはむしろ「エロアニメ=触手」ってくらいなモンだったわけですが、そのへんの話はきっと別項目で(「うろつき童子」とか)で書くことになるだろーから、ここでは特に触れません。
ここでは「お当番娘」について論じたいと思います。
「お当番娘」とはなにか?
それは、複数巻にまたがるエロアニメのシリーズで、個々の巻におけるメインとなる濡れ場(抜きどころ)をつとめるキャラクターのことです。
女性キャラクターが一人っきりしか出ないエロアニメなら別ですが、最近のエロアニメは、だいたい複数の、異なったタイプのヒロインを用意しているのがふつうです。お嬢様タイプ、とか、メガネっこ、とか、妹タイプ、とか、そーゆーの。
こういうタイプのエロアニメは、だいたい一話完結で、巻ごとのヒロインを落とすのが目的、というのが多い。18禁ゲームから転用されたエロアニメの大半がこれに当たります。(18禁ゲームは恋愛シミュレーションや鬼畜調教系が多いので、どうしてもそうなりがちです)
そういう作品に比べて、ヒロインが固定されているタイプの物語では、各巻ごとの濡れ場というものが設定しにくかったりするわけです。
というのも、ヒロインがヤられてしまったら、たいていの場合、そこでお話が終わってしまうからです。むろん、ヤられてから新たな展開があるケースもあるのでしょうが、アニメの場合「ヒロイン=処女」というパターンが圧倒的に多いため、一度ヤられてしまうと、言葉は悪いですが価値がさがってしまって、物語のテンションも落ちてしまうのです。
となると、どうしても前半ではヒロインを守ってやらねばなりません。
1巻だけで完結する話ならばそれでもよいのですが、複数巻にまたがる場合、1巻めはエロシーンはなしよ、次に期待にしてね、というわけにはいきません。観客が1巻めで見限ってしまう怖れがたぶんにあります。1巻めが売れなければ、続きは出せません。
で、都合上、やられ役というものが必要になるわけです。
ストーリーには直接関係ないけれども、とりあえずエロ濃度を高めるために登場する女の子のことです。
「新世紀 淫魔聖伝」においては、それが「武具娘」として登場しました。いちおう物語上は、彼女たちの体内に神将の武具が封印されているという設定があって、触手でイかされると封印されていた武具が解放される、ということになっているのですが、実際問題、彼女たちが出てこなければならない根拠はストーリー上にはさほどなく、最終巻においてもそれらの武具(彼女たちの命と引き換えにしたのに!)が何かの役割を果たすこともありませんでした。
複雑なストーリーを追いかけつつ、ヒロインたちの処女性を保ちつつ、それでいて各巻ごとの商品力を落とさないようにする――そのために生み出されたのが「武具娘」たちだったのです。
しかし、この「淫魔聖伝」シリーズにおいて評価したいことは、それら「武具娘」を用意しながらも、ヒロインにもきちんと「お当番」をつとめさせている、という点です。この作品では、大鳥香・真緒という姉妹と、その従妹にあたる亀山瞳という三人のヒロインが登場します。そのうちの香はややヒールっぽい位置づけで、実質、真緒と瞳が同格のヒロインという感じです。
第1巻は、ヒロインたちは顔見せだけです。複雑な人間関係の説明に時間の多くが費やされています。エロシーンは「武具娘」一人だけ。(ただし、その触手凌辱シーンのクオリティは高かった、といいう評価もありますが……。しかし、ヒロインとして「聖別」されていないキャラクターが凌辱されても、さほどのインパクトはありません)
このパターンがその後も続けば、他の凡庸なシリーズと同様、シリーズ途中で人気は失速してしまったことでしょう。
しかし、第2巻です。
ヒロインの一人である真緒が、この巻で触手の餌食になってしまいます。2巻といえばまだ序盤、触手にとっつかまっても、いじくられるところくらいまでで助けが入るのがこれまでのパターンです。観客たちも、「ここは寸止めだろーな」と思ったはずです。それが、極太の触手でブチ破られてしまいまった。おお、なんてこと!
これはどーも制作側の考えというより、営業サイドからの要請だったらしいです。第2巻でヒロインの一人を凌辱することで、シリーズの中弛みを防ぎ、続巻に弾みをつけたい、という考えだったのでしょう。
真緒以外ヒロインたちも、続く3巻では香、4巻では瞳が当番をつとめます、が、香はヤってますがイってないので実質寸止め、瞳に至ってはさあこれからというところでジャマが入る正統派寸止め。それぞれの巻のメインのエロシーンは武具娘たちが担当しました。それにしても、ヒロインたちがほぼ毎回、きちんと濡れ場をこなしているのですから、評価はできます。
そして、5巻で香が本格的に触手に凌辱されて、グッジョブ! 最終巻では、最後の聖域・瞳が名もなき生徒たちに輪姦された上に、真緒とツインで触手で仕上げられるという充実ぶり。これには辛口なエロアニメの鬼たち(たいてい廃人)も満足したようで、ネット上の評価もよかったようです。
営業サイドが打ち出した路線は正しかったのです。
もっとも、そのせいかどーか、2巻以降の真緒は暗い性格になってしまって、お話のノリも鬱々としたものなり、最終巻は中味を詰め込みすぎて、それまでに張られた伏線の大半も曖昧なまま、ラストはなげやりな「完」の一文字だったりして、もしかしたら作り手側からしたら、充分にやりたいことができなかったのかもしれません。でも、もしも、最終巻、ストーリーの整合性をつけるために尺をとって、エロシーンが中途半端になったていたら、きっと観客の評価は地に落ちてしまっていたでしょう。
エロアニメに求められているのはなんなのか――同時に、それを満たすためにはなにをしなければならないのか―― 「エロアニメはエロさえあればいいんじゃあ」という意見もありますが、それはちょっと違うと思っていて、「このキャラが犯されたら……ハアハア」という妄想を育てるには、ある程度の人物描写が必要だろうと。だから、ストーリーも必要だし、寸止めも「伏線」としてならOK。
そういう意味で、完全な成功作とは言えないかもしれないけど、少なくとも2巻での真緒のサプライズと、5巻での香の爆発、6巻の瞳・真緒の集大成的な凌辱シーンは「よかった」と評価したい。てゆうか、真緒好き。香も好き。瞳はそんなでもないけど……
まあ、とにかく、このシリーズについて総括すると――
ビバ! 姉妹愛ッ!(ダメな締めだ……)
最後にうづき的 各巻の評価……
第1巻 人物紹介編。お当番はメガネっ娘の武具娘。触手責めはボリュームあるが、思い入れのない子がヤられてもなんとも思わない。
第2巻 真緒凌辱! これに尽きる。最高のサプライズ。武具娘の濡れ場もあるが、添え物。
第3巻 香の濡れ場は、香に余裕ありすぎ(まあ、これが5巻の伏線にもなるのだが)。お当番の武具娘の濡れ場もいまいち。
第4巻 瞳の触手シーンは寸止め。お当番は、武具娘sのなかで一番可愛い(主観)萌夏(真緒の親友)だったので、けっこう燃えた。
第5巻 香、大爆発。3巻での不満を一気に払拭。触手二穴中出しで「神」に到達。武具娘はこれまでで最低の扱い。哀れ。
第6巻 名なしの生徒たちが瞳を輪姦。それを助けた真緒も一緒に触手責めで絶頂。エロシーンは6分間。ストーリーのムリヤリな畳み方には笑った。
2002/10/31