神機世界エヴォリューション

 
 ドリームキャスト初のRPG。

 キャッチコピーはそんだけ。マジで。

 うづき的には伝説のCMである。ゲーム画面は最後に一瞬出ただけ。映像の95%は「初RPG」と毛筆でかかれた「書き初め」が教室の壁に貼ってあるのを映したもの。

 制作者たちはこのCMを見て、きっと無力感を噛み締めたろうなあ、と勝手に想像する。

 いっしょうけんめい作ったゲームの内容についてはなんも触れられず、ただ「最初に出たRPG」という順番だけが作品のアイデンティテイとされてしまう。

 でも、モノを売る立場からすれば、セールストークとしては正解なのだ。なぜなら、いちばんわかりやすいからだ。「ほかにないですよ、これが最初ですよ」 しかも人気ジャンルのRPGだ。初物ということで、一定のセールスは見込める。とすれば、いかに効率的にそれが第一弾であることを知らしめるか。テレビCMがむろんもっとも効果的だ。

 だから、戦略的には間違っていなかったとは思う。実際にそこそこ売れたらしいし。

 だが、である。ゲームというのは縁起物じゃない。一番に出たからといって、福男になれるわけじゃあない。

 われわれユーザーはゲームにいろいろなものを求めているのだ。レースだったらスピード感だろうし、アクションだったら爽快感、RPGであれば感動、とか。

 作り手たちはその期待にこたえようと必死でがんばっているのだ(たぶん)。

 そういった部分をまったく伝えずに、ただ「初RPG」とうたったセンスに、うづきは「RPG欠乏症」で悩みつづけたセガ陣営の宣伝ベタを感じる。比較できるかどうかしらないが、地味地味な「ポポロクロイス物語」をじわじわ売りつづけ、続編も含めて「商売」にしてしまったSCEとは、やはり手腕的な隔たりを感じてしまうのだ。

 「エヴォリューション」のゲームの内容については、しかし、うっく。やっぱ「初RPG」なのかもしれない。ボュームに乏しく、内容が薄い。ストーリーも一本道だし、アイテム集めの楽しみも「シレン」などよりはるかに劣っている。

 しかしながら、キャラクター性は高く、とくにリニアはうづき的にオッケイである。チェインも悪くない。ただし、ゲームだけの魅力ではなく、雑誌展開をしていたマンガによる印象がよかったせいでもある。

 続編も出たが、さほどシステム的に進歩しておらず、あまり売れなかったみたいだ。残念だ。

 あのキャラで、システムを見直して、シナリオを大増強して、美少女キャラを何名か追加していればなあ。

 きっと、うづきのほかにもエロパロを書く人はもっと増えたはずだ。(論点がちがうう)

セガ・エンタープライゼス/ESP 1999/1発売 価格5,800円

うづきの採点 6.5/10