うたかたの天使たち 第四話(6a)


エピローグ・制限時間は3秒間

(ごめんね……)

 苑子が言った。

(やっぱり怖いよ……おにいちゃん、ごめんね)

 涙声だ。苑子なりに迷ったのだとわかる。

(わたしがもっと大きくなるまで……おにいちゃん、待っててくれる?)

 そうまで言われてはなあ……。

 しょうがない。

 おれはあきらめた。

 ――和姦を。

 だって、そうだろ? ここまでやっておいて途中でやめられるか?

 それに、今までもやめるチャンスはあったのに、こうなっちゃったわけだろ? もう取り返しはつかないんだよ。

 苑子にもそーゆー男の生理を教えてやらねば、将来こまることになるかもしれないしな。「やめて」と言われてやめる男なんていないんだよ、実際。

 おれは無言で苑子のパンツのなかに手を入れた。

「ひゃっ、なに?」

 苑子が大声をだしかけたので、その口を手でふさぐ。

 やわらかい唇を探って位置を確かめると、おれの唇でふたをする。

 舌を差し入れて、かきまわしてやる。

 ちょい乱暴めに指を使って、苑子の急所をじかにいじくった。

 ちゃんと濡れてる。ぷにぷにしていて、すごく熱くなっている。こりゃあ、途中でやめたら、苑子の身体もかわいそうだ。

「んんーっ、んーっ」


 苑子が訴えている。おれに舌を吸われながら、やめて、と言っているらしい。

 だめだ。そんなことをしたら、さらにやる気がアップしてしまうではないか。

 おれは構わず苑子をいじくり、弄んだ。

 苑子の身体から力が抜けてきた。しめしめ、だ。

 下着をずりずりとずらしてやる。

 けけけけ。

 これで苑子の下半身はすっぽんぽんだ。

 布団をはねのける。

 苑子はまるで解剖されるカエルのようだ。脚を開いてじっとしている。

 おれは猛り立ったものを取り出した。もう、一刻の猶予もないくらいに充血している。

 苑子の中で爆発させてやりたい。

 むろん、苑子は初めてだろう。だが、年齢的に生理はもうあるはずだ。苑子の骨盤の張り出しかたを見ても、第二次性徴はきっちりと発現してきている。つまり、おれを受け入れることは充分可能なはずなのだ。

 ――などいうことを順序立てて考えられる状態には、おれはいなかった。

 苑子に挿入する、そのことしか考えられなくなっていた。

 おれは自分自身をつかんで、苑子の股間に先端をあてがった。柔らかい粘膜が亀頭を刺激する。それだけでもイッてしまいそうだ。たぶん、このまま、ぐっと侵入を果たせば、その瞬間に射精してしまうだろう。

 も、もう、だめだ。入れる、入れるぞ――

 

 と。

 あたりが瞬いた。

 青白い光が点滅を繰りかえしながら、勢力を増してくる。

 闇を駆逐していく。

 ――そして。

 蛍光燈のひもを引っ張っている一子ちゃんと目が合った。

 現在のおれの状況。

 えーと。

 上半身――黒スウェット
 下半身――素っ裸
 局部――やる気マンマン
 頭部――はちまき&懐中電灯

 現在の苑子の状況
 上半身――諸肌脱ぎ、おっぱい露出、乳首周辺に唾液付着ならびにキスマーク多数
 下半身――素っ裸、大股開き
 表情――泣き顔

 ここで問題です。

 おれは、この場を、どうやって切り抜けたらいいでしょうか?

 できたら、三秒以内に回答してください。でないと――

 一子ちゃんが金縛りから脱出してしまいます……

おしまいですよー(いろんな意味で)